日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS08] ジオパーク

2024年5月27日(月) 10:45 〜 12:00 国際会議室 (IC) (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:尾方 隆幸(琉球大学大学院理工学研究科)、田所 敬一(名古屋大学地震火山研究センター)、松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、道家 涼介(弘前大学大学院理工学研究科)、座長:青木 賢人(金沢大学地域創造学類)、道家 涼介(弘前大学大学院理工学研究科)

10:45 〜 11:00

[MIS08-06] 姫島および昭和硫黄島における浅海CO2噴出域の生物地球化学的特性

★招待講演

*藤井 賢彦1小埜 恒夫2山田 誠3、大植 学4伊藤 武留4、楊 人翰1,5堀内 悠6大岩根 尚7、脇田 昌英8和田 茂樹4 (1.東京大学大気海洋研究所、2.水産研究・教育機構水産資源研究所、3.龍谷大学経済学部、4.筑波大学下田海洋研究センター、5.国立成功大学海洋技術・海事研究所、6.おおいた姫島ジオパーク推進協議会、7.株式会社musuhi、8.海洋研究開発機構むつ研究所)

キーワード:CO2噴出域、海洋酸性化、姫島、昭和硫黄島、ジオパーク

日本近海では、火山活動に伴い海底からCO2が噴出する海域が幾つか知られている。特に浅海CO2噴出域は、人間社会にとって身近で重要な沿岸にあり、比較的容易にアクセスできることから、主に火山学の観点から研究が進められてきた。一方、浅海CO2噴出域は今後、人類社会がCO2排出量の大幅な削減に取り組まなければもたらされる将来の海洋環境を先取りしていると考えられ、浅海CO2噴出域における生物化学過程を詳細に調べることで、海洋酸性化が海洋生態系に及ぼす影響を評価・予測する上で重要な知見を得られると期待される。本研究では、九州に位置する大分県姫島と鹿児島県昭和硫黄島周辺の浅海CO2噴出域を、海洋酸性化の観点から初めて調査した。いずれのCO2噴出域でも、海水中のCO2濃度は周辺の非CO2噴出域よりも高く、pHや炭酸カルシウム飽和度の著しい低下が見られ、人為的なCO2排出量の大幅な削減がなければ今世紀末に到達すると予測される値と同等以下となる海洋環境が存在していることがわかった。これらの浅海CO2噴出域は日本ジオパーク内に位置していることから、学術研究の対象としてだけでなく、ジオパークの観点からスタディツアーやエコツーリズムのフィールド、ローカルアイデンティティの再構築の題材としても活用できると期待される。