09:00 〜 09:15
[MIS10-01] グローバル南極学:大変化する氷床と地球環境の連鎖をつなぐ
★招待講演
キーワード:南極、氷床不安定、大気の川、海水位変動
近年、地表面最大の淡水リザーバーである南極氷床が縮小しつつある。不安定化した氷床流出による急激な海面上昇が臨界点を超える懸念がある。一方で、温暖化した大気が輸送する降雪量の増加が対抗する。この氷床流出加速と涵養増加のせめぎあいの理解が将来の海水位変化を精度良く予測する鍵である。それぞれの変化はローカルな力学とグローバルな大気-海洋-雪氷-固体地球の相互作用によって決まるが、過去と現状の理解にはともに未だ大きなギャップがあり、将来予測の不確実性が高い。氷床融解の影響は、海面上昇だけでなく、大気・海洋や温室効果ガス循環等の相互作用の連鎖により大きな気候変化を引き起こす。こうした一連の課題の解明が急務となっている。
私たちはこの南極氷床と地球環境の変化をつなぐ新たな研究の枠組を提案する。氷床末端から海洋までの広域で展開する先端的現場観測と高解像度数値モデリングにより、中・低緯度や北半球に端を発する暖かい周極深層水の大陸棚上への流入過程やその変動の駆動源、棚氷の急速崩壊メカニズム、大気を介した涵養と遠隔地域相互作用の解明を経て、現在進行する南極氷床縮小のメカニズムとそのドライバーの解明を目指す。並行して、南極氷床を中心とした広域における氷床・海洋堆積物等の採取および先端試料解析による過去の氷期−間氷期サイクルに伴う南極氷床変動の復元と、改良した氷床数値モデルおよび大気海洋結合モデルによる数万年の数値モデリングにより、特に温暖期を中心に現在と異なる気候状態での東南極氷床変動の要因を明らかにする。上記知見を多分野で共有する融合研究を促進し、特に過去の温暖期を近未来のアナロジーと位置づけて、氷床から大気・海洋に至る気候要素間でのグローバルスケールの相互作用と過去から現在・近未来に至る時間スケールでの変動を統一的視点で解釈する。
この研究枠組みでは、これまで十分理解されていないグローバルな観点からの南極氷床変動の理解を軸とし、地球環境システムから受け、与える影響を、数万年以上の過去から近未来におよぶ時間軸で統合的に研究する新たな学理「グローバル南極学」を構築し、気候・環境科学の新展開と社会への貢献への一歩を踏み出す。
私たちはこの南極氷床と地球環境の変化をつなぐ新たな研究の枠組を提案する。氷床末端から海洋までの広域で展開する先端的現場観測と高解像度数値モデリングにより、中・低緯度や北半球に端を発する暖かい周極深層水の大陸棚上への流入過程やその変動の駆動源、棚氷の急速崩壊メカニズム、大気を介した涵養と遠隔地域相互作用の解明を経て、現在進行する南極氷床縮小のメカニズムとそのドライバーの解明を目指す。並行して、南極氷床を中心とした広域における氷床・海洋堆積物等の採取および先端試料解析による過去の氷期−間氷期サイクルに伴う南極氷床変動の復元と、改良した氷床数値モデルおよび大気海洋結合モデルによる数万年の数値モデリングにより、特に温暖期を中心に現在と異なる気候状態での東南極氷床変動の要因を明らかにする。上記知見を多分野で共有する融合研究を促進し、特に過去の温暖期を近未来のアナロジーと位置づけて、氷床から大気・海洋に至る気候要素間でのグローバルスケールの相互作用と過去から現在・近未来に至る時間スケールでの変動を統一的視点で解釈する。
この研究枠組みでは、これまで十分理解されていないグローバルな観点からの南極氷床変動の理解を軸とし、地球環境システムから受け、与える影響を、数万年以上の過去から近未来におよぶ時間軸で統合的に研究する新たな学理「グローバル南極学」を構築し、気候・環境科学の新展開と社会への貢献への一歩を踏み出す。
