14:30 〜 14:45
[MIS10-15] 鮮新世西南極氷床史: 南大洋アムンゼン海IODP Site U1532の珪藻化石
キーワード:鮮新世温暖期、アムンゼン海、珪藻、西南極氷床
国際深海科学掘削計画(IODP)第379次航海では,現在の温暖化で最も顕著に氷床量が減少している西南極アムンゼン海域で、過去の温暖化に対する応答性を探るべくドリフト堆積物を掘削した。堆積速度は従来の南極周辺掘削地点に比べて極めて速く, 1000年で最大20-60cmを超えていることが明らかになった. Site U1532の鮮新世(5.3-2.58Ma)堆積物中の珪藻化石を分析したのでその詳細を報告する。
総計528試料(最小サンプル間隔5cm)で定量スライドを作成し、可能な限り400個体以上を同定、必要に応じて複数枚検鏡を実施した。その結果400を超える試料から49属120タクサの珪藻化石を識別することができた。
ガウス–ギルバート古地磁気境界(~3.6Ma)に着目し、精度・確度の高い地域間対比を行ったところ、西南極Site U1532では、ウィルクスランド沖東南極Site U1361(Ambrecht et al., 2018)より、MIS Gi1の生物生産量が明らかに高く、西南極氷床の崩壊が東南極氷床の崩壊よりも先行していたことが示唆された。
現世種の生態情報(Armand et al., 2005; Crosta et al., 2005)から類推したところ、鮮新世の3.4-3.7Maの間氷期夏期の表層水温は1-5℃程度と現在とさほど変わらないかやや温暖であった一方、3.8-4.3Maは〜5℃程度と温暖で結氷期間も短かったこと、4.5-4.7Maには逆に1℃以下の低温であったことが類推された。
また、表層堆積物では認められなかった中新世以前の珪藻化石の出現が3.4-3.7Maのマイルドな温暖期においても確認され、氷床は現在より後退していたことが指摘された。
総計528試料(最小サンプル間隔5cm)で定量スライドを作成し、可能な限り400個体以上を同定、必要に応じて複数枚検鏡を実施した。その結果400を超える試料から49属120タクサの珪藻化石を識別することができた。
ガウス–ギルバート古地磁気境界(~3.6Ma)に着目し、精度・確度の高い地域間対比を行ったところ、西南極Site U1532では、ウィルクスランド沖東南極Site U1361(Ambrecht et al., 2018)より、MIS Gi1の生物生産量が明らかに高く、西南極氷床の崩壊が東南極氷床の崩壊よりも先行していたことが示唆された。
現世種の生態情報(Armand et al., 2005; Crosta et al., 2005)から類推したところ、鮮新世の3.4-3.7Maの間氷期夏期の表層水温は1-5℃程度と現在とさほど変わらないかやや温暖であった一方、3.8-4.3Maは〜5℃程度と温暖で結氷期間も短かったこと、4.5-4.7Maには逆に1℃以下の低温であったことが類推された。
また、表層堆積物では認められなかった中新世以前の珪藻化石の出現が3.4-3.7Maのマイルドな温暖期においても確認され、氷床は現在より後退していたことが指摘された。
