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[MIS10-P06] 南大洋における適切なSGLI/GCOM-Cデータ利用のための海氷コンタミネーション閾値
キーワード:海色リモートセンシング、隣接効果、海氷
南大洋は世界の海洋面積の約10%を占め、そこに生息する植物プランクトンの一次生産は全球規模の炭素循環に大きく寄与する。現在、南大洋の一次生産は衛星海色センサーによって継続的に推定されている。日本が打ち上げた気候変動衛星「しきさい:GCOM-C」に搭載されている海色センサーsecond-generation global imager (SGLI)は250 mの空間解像度を持ち、5年以上安定した運用が行われ、南大洋の物質循環研究にSGLIによるクロロフィルa(chl.a)や一次生産のデータを使用予定である。しかしながら、センサーの検証、特に海氷域における迷光や海氷の隣接効果は南大洋において評価されていない。そこで、SGLI運用開始以降(2018年)に取得されたUHPLCによるchl.aデータ(n=169)を用い検証を行った。また、過去に南大洋の開放水面域で取得した分光放射データを用い、海氷の隣接効果の有無を判断する閾値を設定した(ice contamination threshold:ICT)。SGLIと同期したデータはわずか8点であったが、2観測点以外は低濃度から高濃度にかけてSGLIと現場のchl.a濃度は良く一致した(現場chl.a濃度の範囲は0.06-1.07 mg m-3)。過大評価は雲の周囲、過小評価は海氷周辺で観測された。これらのデータはSGLIの迷光フラグと負の輝度値フラグによりマスクできるが、フラグによりマスクされない海氷周辺は低濃度または高濃度のノイズが見られた。これらのノイズは本研究で開発したICTによってマスク可能であったため、海氷による干渉があると推察された。また、本ICTは北極海で開発された閾値と大きく異なり、CDOM濃度の違いを反映していると考えられる。
