[M-IS11] 山の科学

[MIS11-P02] 北アルプス・上高地における積雪分布

*近藤 ひかる¹、西村 基志²、佐々木 明彦³、榊原 厚一¹、鈴木 啓助⁴ (1.信州大学理学部理学科、2.国立極地研究所　北極観測センター、3.国士舘大学文学部史学地理学科　地理・環境コース、4.信州大学山の環境研究センター)

キーワード：季節的積雪、降雪、高山地域、現地観測、日本アルプス

雪は白いダムと呼ばれるように天然のダムとしての役割を果たしている．山岳地域での積雪の変動は，地球温暖化に伴い増加する可能性が示唆されているが，山岳地域において実際の観測データに基づいた積雪深・降雪深の変動の研究は未だ少ない．また，山岳地域における局地的な積雪深の変動に寄与する要因は未だ未解明な点が多い．そこで，本研究では，2013/14年冬季から2022/23年冬季までの10シーズンにおける北アルプス・上高地における現地気象観測データと周辺の気象条件に関するデータの解析から，高標高の盆地状地形である上高地において，1）山岳域における積雪量の変動，2）気圧配置や風などによる積雪分布の変動を評価することを目的とした．解析対象とした期間において経年的な増減傾向は認められなかった．解析対象期間では，2014/15年冬季が最も降雪量が多く，2015/16年冬季が最も降雪量が少なかった．積雪量が多いのは5地点の中で最も標高の高い地点であったが，一回の降雪イベントにおいて降雪量が最も多い地点は最も標高が高い地点とは限らなかった．