日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS11] 山の科学

2024年5月27日(月) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:苅谷 愛彦(専修大学文学部環境地理学科)、佐々木 明彦(国士舘大学文学部史学地理学科 地理・環境コース)、奈良間 千之(新潟大学理学部フィールド科学人材育成プログラム)、西村 基志(信州大学 先鋭領域融合研究群 山岳科学研究拠点)

17:15 〜 18:45

[MIS11-P08] 雪えくぼに形成される緑雪の積雪内3次元分布

*七田 朋香1小林 綺乃1阿部 稜平1赤林 哲也1竹内 望1 (1.千葉大学)

キーワード:雪氷藻類、雪えくぼ、緑雪、苗場山、3次元分布

融雪期の積雪表面には,雪えくぼとよばれる直径数十センチ,深さ数センチのくぼみが形成されることがある.雪えくぼの底部には,雪氷藻類という寒冷環境に適応した光合成微生物が繁殖し,赤雪や緑雪などの彩雪現象が現れることが知られている.しかし,なぜ雪えくぼで雪氷藻類が集中的に繁殖するのかについてはほとんどわかっていない.そこで本研究では,信越地方苗場山の雪えくぼに現れた緑雪について,複数の垂直断面を連続的に写真撮影して積雪内の緑雪の3次元分布を明らかにし,雪えくぼの形成と藻類の繁殖過程の関係を考察することを目的とした.
雪えくぼから採取した緑雪の顕微鏡観察の結果,藻類細胞の形態から,この緑雪の原因となっている藻類は,主にクロロモナス属の遊泳細胞であることがわかった.積雪断面の連続撮影写真から緑雪の3次元の分布を求めた結果,雪えくぼの表面下約4cm付近を中心に,縦15 cm,幅22 cmの範囲に緑雪が広がっていることが明らかになった.緑雪の水平方向の分布は,雪えくぼの最深部から南側に偏っていた.このような分布は,単に雪えくぼ下の融解水の流れによって藻類細胞が集積しているのではなく,藻類細胞が積雪内を遊泳することによって,繁殖に最も適した光と融解水の条件の場所に集積したことを示している.積雪内で氷板が観察された雪えくぼでは,氷板上でも緑雪が集中していることが明らかになった.このことは,一部の藻類は融解水とともに積雪内を下層に移動し,透水性のない氷板の上部に集積することを示している.以上の結果から,雪えくぼの下部の積雪では,豊富な融解水の中で藻類が繁殖し,さらに遊泳細胞が適切な日射および融解水条件を選ぶことによって,最深部からやや南側の位置に緑雪が形成するものと考えられる.