日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS12] 古気候・古海洋変動

2024年5月29日(水) 15:30 〜 17:00 国際会議室 (IC) (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:山崎 敦子(名古屋大学大学院環境学研究科)、岡崎 裕典(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、長谷川 精(高知大学理工学部)、小長谷 貴志(東京大学大気海洋研究所)、座長:山崎 敦子(名古屋大学大学院環境学研究科)

16:00 〜 16:15

[MIS12-07] 三重県霧穴の石筍を用いた完新世の陸域古気候復元

*村田 彬1加藤 大和1狩野 彰宏1仙田 量子2 (1.東京大学、2.九州大学)

キーワード:古気候、石筍、酸素同位体、炭酸凝集同位体

近年、地球温暖化が進行する中で、過去の気候を詳細に解明することの重要性が増している。特に、人類の生活圏である温帯から熱帯の陸域における古気候情報は、地球と人類の将来を予測するために必要不可欠であると考える。

今回の発表では、三重県の霧穴を対象にした研究の成果を報告する。長さ35 cmの石筍試料はウラントリウム放射年代測定の結果、過去1万4千年間にわたる記録を保持していることがわかった。酸素・炭素同位体比、Mg/Ca比、堆積速度などのプロキシを用いることで、気温の量的な推定と降水量の定性的な評価が可能となった。加えて、九州大学にて測定した炭酸凝集同位体比を活用すると気温情報を一義的に得ることが可能であり、それらのデータも気温変化を示す有用なデータとなった。
結果、霧穴周辺では、約7000-10000年前に2-3度の気温上昇に伴い、降水量が増加するような傾向が示唆された。また、約3000年前の縄文時代晩期には一時的な寒冷化と乾燥化の様子が得られ、社会変革を引き起こした背景も得られた。