日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS14] 生物地球化学

2024年5月30日(木) 10:45 〜 12:00 302 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:福島 慶太郎(福島大学農学群食農学類)、木庭 啓介(京都大学生態学研究センター)、山下 洋平(北海道大学 大学院地球環境科学研究院)、大河内 直彦(海洋研究開発機構)、座長:木庭 啓介(京都大学生態学研究センター)、福島 慶太郎(福島大学農学群食農学類)

11:15 〜 11:30

[MIS14-09] 火山灰によって地下に埋没する炭素:樽前cおよび樽前d火山灰による埋没炭素量の推定

*保原 達1、加瀬 龍光1、岡田 しずく1、畑中 朋子1、中路 達郎2、澤本 卓治1、森泉 美穂子3、松本 真悟4、Hung Khew1、吉村 暢彦1 (1.酪農学園大学、2.北海道大学、3.龍谷大学、4.島根大学)

キーワード:土壌炭素、火山灰、樽前山、埋没土壌

火山灰は、しばしば地表を覆って陸上生態系を一変させる。火山灰の降灰によって地中に埋没した生態系有機物の一部は数万年以上に渡り保存されうる。我が国では、火山灰によって埋没した有機質な土壌が様々な地域で認められるが、一度の火山によってどれほどの有機物が埋没するかについての知見はほとんどない。本研究では、火山灰によって地中に埋没されている炭素量を試算することを目的として調査を行った。調査は、樽前山の麓にある北海道大学苫小牧研究林に3つの調査地点を設定し、重機で土壌を表層から深層まで6 mほど掘削して行った。全調査地点において、樽前山の4つの火山灰(上から、Ta-a、Ta-b、Ta-c、Ta-d)が堆積しているのを確認し、特にTa-cとTa-dが厚く堆積していた。これら火山灰土壌の炭素分析などから試算したところ、埋没土壌を含む土壌中に保持された炭素量は地上の植物が保持するものと比して約10倍に相当することが明らかとなった。また、2つの火山灰Ta-cおよびTa-dについて、降灰した陸域森林全域における炭素蓄積量をGISを用いて推定したので、発表ではそれについても紹介する。