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[MIS14-P03] 福島県福島市を流れる荒川の水質形成プロセス
キーワード:空間分布、河川水質、酸性、土地利用
福島県福島市を流れる阿武隈川水系の一級河川・荒川は、国土交通省による「水質が最も良好な河川」に13年連続選出されている。しかしながら、その水質形成プロセスについて明らかではない。そこで本研究では、荒川の水質の空間パターンと、水質を決定する要因を明らかにすることを目的とした。目的の達成のため、2023年6月と10月に荒川・松川・油井川を対象に広域的な採水と化学分析を行った。松川・油井川を対象に含めた意図は、酸性が強いと考えられた荒川との比較のためである。本研究では、溶存態のアルミニウムと鉄についても調査行い、水質形成プロセスと関連付けることも本研究の狙いの一つとした。広域採水の結果、荒川中流付近で火山に由来する強酸性の支流河川・須川が合流することで荒川のpHが低下すること、一方で須川のpHが上昇することで溶存していた一部の重金属イオンが荒川河床に沈殿することが観察された。このことから、生物が生息しにくい環境が形成され、国土交通省の水質基準を満たしていることが推察された。