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[MIS20-07] 海岸砂丘の発達が津波浸水へ与える影響―高知県南国市を例に
キーワード:津波、海岸砂丘、地中レーダ、OSL年代測定、高知県、南海トラフ
津波堆積物の主要な調査地である沿岸低地は,完新世を通して地形環境が大きく変化しており,その一つに海岸砂丘の発達がある.沿岸低地と海岸を隔てる海岸砂丘は,沿岸低地への津波や高潮の浸水を評価する上で非常に重要な要素である.しかし,海岸砂丘の発達が内陸への浸水に与えた影響はほとんど検証されていない.そこで,本研究では,南海トラフに面する高知県南国市の海岸砂丘を対象に,地中レーダ(GPR)探査やボーリング調査,光ルミネッセンス(OSL)年代測定や14C年代測定等を行って,その発達過程を明らかにするとともに,当地域の浸水履歴との比較を行った.
調査の結果,当地域の砂丘の発達は大きく2つの段階に分けられることが明らかになった.まず,約6000~2600年前には,現在の砂丘頂部付近で砂丘が上方へ標高10m程度まで成長し,砂丘の基部が形成された.一方,約2600年前以降は側方(主に海側)への拡大が顕著になったと考えられる.砂丘の内陸側の低地では津波堆積物調査が実施され,約6000~2400年前に津波の可能性が高い4つの浸水イベントが確認されたが,それ以降の約2400~900年前には明瞭なイベント砂層は報告されていない(Tanigawa et al., 2018).浜堤の発達過程と浸水履歴の比較からは,約2600年前頃までの砂丘の上方への成長により,低地にイベント堆積物が残されるほどの浸水が起こりにくくなった可能性が考えられる.
本研究は,文部科学省の「防災対策に資する南海トラフ地震調査研究プロジェクト」の一環として実施した.
調査の結果,当地域の砂丘の発達は大きく2つの段階に分けられることが明らかになった.まず,約6000~2600年前には,現在の砂丘頂部付近で砂丘が上方へ標高10m程度まで成長し,砂丘の基部が形成された.一方,約2600年前以降は側方(主に海側)への拡大が顕著になったと考えられる.砂丘の内陸側の低地では津波堆積物調査が実施され,約6000~2400年前に津波の可能性が高い4つの浸水イベントが確認されたが,それ以降の約2400~900年前には明瞭なイベント砂層は報告されていない(Tanigawa et al., 2018).浜堤の発達過程と浸水履歴の比較からは,約2600年前頃までの砂丘の上方への成長により,低地にイベント堆積物が残されるほどの浸水が起こりにくくなった可能性が考えられる.
本研究は,文部科学省の「防災対策に資する南海トラフ地震調査研究プロジェクト」の一環として実施した.