日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS21] 地球流体力学:地球惑星現象への分野横断的アプローチ

2024年5月29日(水) 10:45 〜 12:00 106 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:伊賀 啓太(東京大学大気海洋研究所)、吉田 茂生(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、柳澤 孝寿(国立研究開発法人海洋研究開発機構 海域地震火山部門)、相木 秀則(名古屋大学)、座長:伊賀 啓太(東京大学大気海洋研究所)

11:45 〜 12:00

[MIS21-05] 高渦位を伴う切離低気圧の3次元的な渦間相互作用とその変調

*山本 晃立1伊賀 啓太1 (1.東京大学大気海洋研究所)

キーワード:切離低気圧(上層寒冷低気圧;寒冷渦)、渦位、渦間相互作用、非断熱加熱

対流圏上層付近においてはRossby波の砕波に伴い,高い渦位(PV: Potential Vorticity)を持った空気が低緯度側に貫入し,低気圧を構成することがある.このような低気圧は「切離低気圧」や「寒冷渦」などと呼ばれている.切離低気圧は大気の不安定化を通して極端降水などの一因となり得るため,維持されるメカニズムの解明は重要な課題である.講演者のグループでは近年,2021年7月中旬のヨーロッパにおける切離低気圧事例を対象にした研究を行い,大雨をもたらした切離低気圧が別の切離低気圧と併合することにより自身の勢力の維持に寄与することを定量的に示した(Yamamoto et al. 2024).また,非断熱加熱が併合を変調させ得ることを指摘した.しかし,後者は今後詳細に確認すべき事項として残された点であった.そこで,同事例を対象に,パラメタリゼ―ションに着目したアンサンブル実験を行った.PVや速度場を解析した結果,メインの低気圧への時間あたりの流入が多かったメンバーでは 1) 両低気圧の間の領域で正のPV偏差が強まったという直接的な効果,および 2) メインの低気圧の内部でPVが高まったことで,誘起される低気圧性循環が強化されたという間接的な効果により,流入しやすい状況になっていたことが明らかとなった.以上の結果は,先行研究で議論された2次元的な渦間相互作用のメカニズムが3次元的にも適用可能である可能性を示唆すると共に,非断熱加熱が渦間相互作用を変調し得る可能性を支持するものである.

参考文献:
Yamamoto, K., K. Iga, and A. Yamazaki, 2024: Mergers as the maintenance mechanism of cutoff lows: A case study over Europe in July 2021. Mon. Wea. Rev., accepted, https://doi.org/10.1175/MWR-D-23-0024.1.