17:15 〜 18:45
[MIS22-P12] 海底泥火山群からの溶存態有機物および栄養塩の放出
キーワード:海底泥火山、溶存態有機炭素、栄養塩
海底泥火山は,高間隙水圧をもった海底下深部の堆積物が泥ダイアピルとして上昇し,海底に噴出した小丘であり,海底下深部で生成したCH4などの物質の放出源となっている.また、海底泥火山からメタン以外の深部由来物質も放出されていることが報告されている。例えば,最近の研究では,メタン湧水域の表層堆積物内において、微生物によるメタン酸化に伴う副生成物として生成される溶存態有機炭素(DOC)が海中に放出され、海洋の炭素循環に寄与している可能性が指摘されている.海底泥火山はメタン湧水域の一つであるためDOCを放出している可能性があるが,DOCの放出が観測された例はわずかである.また,種子島沖の海底泥火山からは,海底下に生息する微生物がメタンと共に放出されていることが報告されている.
本研究では,海底泥火山からのメタン以外の海底下深部由来物質の放出の有無を確認することを目的とする.2023年8月におこなわれた学術研究船「白鳳丸」KH-23-4次航海によって,琉球海溝から南海トラフ西端の喜界島沖,種子島沖,日向灘に分布する海底泥火山群にて採水調査を行った.喜界島沖泥火山7山,種子島沖泥火山3山,日向灘泥火山4山の計14山33サイトで,CTDロゼット採水システムにより海水試料を採取した.一部のサイトではマルチプルコアラーに採水器を取り付けて海底面直上1~2 mでの採水を行った.採取した海水試料中のDOC濃度と栄養塩濃度(NO2,NO3,NH4,SiO2,PO4)を測定した.
栄養塩分析の結果,喜界島沖泥火山5山(KSK2,KSK3,KSK4,KSK5,KNK1),日向灘泥火山2山(HyMV24,HyMV9)において,NH4濃度が,1~2 μMのバックグラウンド濃度に対して山頂直上の海底付近で1.5~5倍程度増加しているのが確認された.また,種子島沖泥火山MV3(31º02.6N,131º40.90′E,1200 m)では, NO2濃度が泥火山山頂上50 mから山頂直上10 mまで0 µMから0.46 µMまで増加していた.NH4やNO2は,還元的な環境で生成されるため,泥火山山頂直上での濃度の増加は,海底下で生成したこれらの栄養塩類が海洋中へ放出されていることを示唆する.
一方,DOC濃度の測定は完了していないが,現在のところ,喜界島沖泥火山KNK1(28º25.37′N,130º11.55′E,976 m)とKNK2(28º33.48′N,130º3.78′E,868 m)において, 泥火山からのDOCの放出を示す山頂直上での濃度の増大(40 μMのバックグラウンド濃度よりも2~3 μM高い)を確認している.
以上の結果から,海底泥火山からはメタンだけでなく,海底下で生成された栄養塩やDOCが放出されている可能性を確認することができた.
本研究では,海底泥火山からのメタン以外の海底下深部由来物質の放出の有無を確認することを目的とする.2023年8月におこなわれた学術研究船「白鳳丸」KH-23-4次航海によって,琉球海溝から南海トラフ西端の喜界島沖,種子島沖,日向灘に分布する海底泥火山群にて採水調査を行った.喜界島沖泥火山7山,種子島沖泥火山3山,日向灘泥火山4山の計14山33サイトで,CTDロゼット採水システムにより海水試料を採取した.一部のサイトではマルチプルコアラーに採水器を取り付けて海底面直上1~2 mでの採水を行った.採取した海水試料中のDOC濃度と栄養塩濃度(NO2,NO3,NH4,SiO2,PO4)を測定した.
栄養塩分析の結果,喜界島沖泥火山5山(KSK2,KSK3,KSK4,KSK5,KNK1),日向灘泥火山2山(HyMV24,HyMV9)において,NH4濃度が,1~2 μMのバックグラウンド濃度に対して山頂直上の海底付近で1.5~5倍程度増加しているのが確認された.また,種子島沖泥火山MV3(31º02.6N,131º40.90′E,1200 m)では, NO2濃度が泥火山山頂上50 mから山頂直上10 mまで0 µMから0.46 µMまで増加していた.NH4やNO2は,還元的な環境で生成されるため,泥火山山頂直上での濃度の増加は,海底下で生成したこれらの栄養塩類が海洋中へ放出されていることを示唆する.
一方,DOC濃度の測定は完了していないが,現在のところ,喜界島沖泥火山KNK1(28º25.37′N,130º11.55′E,976 m)とKNK2(28º33.48′N,130º3.78′E,868 m)において, 泥火山からのDOCの放出を示す山頂直上での濃度の増大(40 μMのバックグラウンド濃度よりも2~3 μM高い)を確認している.
以上の結果から,海底泥火山からはメタンだけでなく,海底下で生成された栄養塩やDOCが放出されている可能性を確認することができた.