日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS23] 地質学のいま

2024年5月31日(金) 10:45 〜 11:45 302 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:辻森 樹(東北大学)、山口 飛鳥(東京大学大気海洋研究所)、尾上 哲治(九州大学 大学院理学研究院 地球惑星科学部門)、小宮 剛(東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻)、座長:辻森 樹(東北大学)、山口 飛鳥(東京大学大気海洋研究所)

11:15 〜 11:30

[MIS23-09] 構造地質学:目の前の露頭から定量的な議論ができる魅力

*大坪 誠1 (1.産業技術総合研究所 活断層・火山研究部門)

キーワード:地質学、時間、空間、構造、不均一性

構造地質学は地殻や岩石の運動や変形の力学的なプロセスを研究する地質学の一つの分野である.地球上の多様な自然を記述して,そこから規則性を見出す博物学的アプローチを出発として,その規則性から地球で起こる事象を定量的に理解しようとする学問である.対象とする運動や変形に対して,どんな要素が,どんな条件で,どのように効いてくるのかを知ることが重要である.とくに,それらの事象は空間的にも時間的にも不均一であり,それらが複数の効果がどう理論づけて理解していくか大きなチャレンジである.博物学的なアプローチに立ち返ると,例えば,岩石に発達する亀裂が,目の前の露頭に,ある・なし,のみならず,その露頭の,どこに(空間),どのくらい(量),どのように(ばらつき)を,自分自身の調査で調べ,そして定量的な検討ができるのが構造地質学の一つの魅力である.このような定量的な検討は構造地質学での検討にとどまらず,地球物理学,地球化学,地形学,水理学,様々な学問で取り扱う現象の理解を進める鍵にもなる.よって,構造地質学的な研究は,JpGUのような個別分野で蓄積されてきた知見を統合させる領域横断的な議論の場で共有して議論を深めることに重要な役割も持つ.
本発表では,構造地質学での露頭スケールを対象としたいくつかの研究事例を示し,露頭スケールの構造から定量的データを得る魅力を紹介する.

参考文献
山路 敦 (2000) 理論テクトニクス入門―構造地質学からのアプローチ, 朝倉書店, 287p.