17:15 〜 18:45
[MTT37-P05] 超稠密GNSS観測網が捉える屈斜路カルデラ周辺の非定常地殻変動
キーワード:GNSS、CSESS、地殻変動、火山イベント
北海道東部,阿寒知床火山列にある屈斜路カルデラ周辺では内陸地震や微小地震活動が比較的多く発生し,また地下では低比抵抗領域の存在など不均質構造の存在も示唆されている.これらの地殻活動に関連する変動場とその変形メカニズムを調べるため,北海道大学はGNSS観測網を展開し,2003年からは5点で連続観測を,約15点で年1回程度のキャンペーン観測を実施してきた.その結果から,定常的には屈斜路カルデラ中央部が周辺よりも大きい収縮ひずみを持つことが分かっている.
屈斜路カルデラ中央部は活火山のアトサヌプリをはじめとする火山群を構成しており,非定常地殻変動も観測されている.GEONETや北海道大学のGNSS観測網から,2021年から2023年にかけて,火山群の中心,アトサヌプリの西側で膨張変動源が仮定されるような地殻変動場が観測された.この地域では,干渉SARによる地表変動観測から,1993年から1995年にかけても一時的な膨張イベントの発生が報告されており,火山活動の推移を注視するためにも詳細な地殻変動場の把握や変動源の推定が必要である.毎年9月に行っているキャンペーンGNSS観測の期間に合わせて,「ソフトバンク独自基準点データの宇宙地球科学用途利活用コンソーシアム(CSESS)」の枠組みで提供された2020年から2023年9月の屈斜路カルデラ周辺約35点のGNSSデータもあわせて座標推定および地殻変動解析を行うことで,非常に稠密な空間分解能で高精度地殻変動場を得た.また,GEONETとCSESSから得られた地殻変動誤差はほぼ同等であることも確認した.
先行研究で推定された1990年代の膨張イベントの変動源の情報を参考に,水平板状,球状圧力源を仮定して2年間の膨張変動の説明を試みると,107m3オーダーの体積変化が推定された.これは1990年代のイベントよりは若干小さい規模なる.これが過去の膨張変動とどのように関係し,今後この地域の火山活動がどのように推移していくかを把握,監視するためには,長期の安定した稠密観測網は大きな情報源となる.CSESSのデータについては,今後連続データの解析も実施して,この地域の地殻変動の時空間分解能を高めることで,地震活動や地下構造に起因する詳細な地殻変動解析,変形モデリングが進むと期待される.
謝辞:本研究では国土地理院のGEONETデータを使用させていただきました.また,本研究で使用したソフトバンクの独自基準点の後処理解析用データは「ソフトバンク独自基準点のデータの宇宙地球科学用途利活用コンソーシアム」の枠組みを通じて,ソフトバンク株式会社およびALES株式会社より提供を受けたものを使用しました.本研究は文部科学省による「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」,東京大学地震研究所共同利用(2023-B-02)の援助を受けて実施しました.
屈斜路カルデラ中央部は活火山のアトサヌプリをはじめとする火山群を構成しており,非定常地殻変動も観測されている.GEONETや北海道大学のGNSS観測網から,2021年から2023年にかけて,火山群の中心,アトサヌプリの西側で膨張変動源が仮定されるような地殻変動場が観測された.この地域では,干渉SARによる地表変動観測から,1993年から1995年にかけても一時的な膨張イベントの発生が報告されており,火山活動の推移を注視するためにも詳細な地殻変動場の把握や変動源の推定が必要である.毎年9月に行っているキャンペーンGNSS観測の期間に合わせて,「ソフトバンク独自基準点データの宇宙地球科学用途利活用コンソーシアム(CSESS)」の枠組みで提供された2020年から2023年9月の屈斜路カルデラ周辺約35点のGNSSデータもあわせて座標推定および地殻変動解析を行うことで,非常に稠密な空間分解能で高精度地殻変動場を得た.また,GEONETとCSESSから得られた地殻変動誤差はほぼ同等であることも確認した.
先行研究で推定された1990年代の膨張イベントの変動源の情報を参考に,水平板状,球状圧力源を仮定して2年間の膨張変動の説明を試みると,107m3オーダーの体積変化が推定された.これは1990年代のイベントよりは若干小さい規模なる.これが過去の膨張変動とどのように関係し,今後この地域の火山活動がどのように推移していくかを把握,監視するためには,長期の安定した稠密観測網は大きな情報源となる.CSESSのデータについては,今後連続データの解析も実施して,この地域の地殻変動の時空間分解能を高めることで,地震活動や地下構造に起因する詳細な地殻変動解析,変形モデリングが進むと期待される.
謝辞:本研究では国土地理院のGEONETデータを使用させていただきました.また,本研究で使用したソフトバンクの独自基準点の後処理解析用データは「ソフトバンク独自基準点のデータの宇宙地球科学用途利活用コンソーシアム」の枠組みを通じて,ソフトバンク株式会社およびALES株式会社より提供を受けたものを使用しました.本研究は文部科学省による「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」,東京大学地震研究所共同利用(2023-B-02)の援助を受けて実施しました.