日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-TT 計測技術・研究手法

[M-TT38] インフラサウンド及び関連波動が繋ぐ多圏融合地球物理学の新描像

2024年5月29日(水) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:山本 真行(高知工科大学 システム工学群)、西川 泰弘(高知工科大学 システム工学群)、市原 美恵(東京大学地震研究所)、乙津 孝之(一般財団法人 日本気象協会)

17:15 〜 18:45

[MTT38-P04] 新型MEMS微気圧計の性能評価

*大井 拓磨1、鈴木 彩水1、大井 涼平1 (1.株式会社クローネ)

キーワード:MEMS気圧センサー、インフラサウンド、大気脈動、微気圧計

はじめに
人の可聴周波数(約20Hz~20KHz)より低い周波数の音波であるインフラサウンド(超低周波音)を測定することで、自然災害につながる地震や火山噴火活動のような大規模な変動を検知することが出来る。これらのインフラサウンドを測定できる気圧計として、水晶振動式気圧計が良く知られている。この気圧計は分解能10億分の1、精度±0.08hPa(±0.008%FS)を実現しており高性能である。しかしながら、価格が高いというマイナス面がある。反対に普及型の気圧計は安価であるがサンプリング速度と分解能が不足している。インフラサウンド観測の精度向上のためには広範囲にインフラサウンドセンサー(微気圧計)を配置することが重要である。そのためには低コストで高性能な微気圧計が必要である。

新型MEMS微気圧計の設計
我々が考案した新型MEMS微気圧計に搭載されているMEMS気圧センサーは静電容量式の気圧センサーであり安価かつ小型化できる省電力なデバイスである。しかしながら単体でインフラサウンドを計測するにはSN比が不足している。このような課題を解決する手段としてMEMS気圧センサーから出力される気圧値に対してオーバーサンプリングとIIR(無限インパルス応答)フィルターを用い、ノイズの除去を行った。さらに1つの筐体に複数(n)のMEMS気圧センサーを配置して平均化処理することでノイズレベルを1/√nに低減することを行った。

実観測及び結果
新型MEMS微気圧計の性能を評価するために国立研究開発法人海洋研究開発機構横浜研究所内と株式会社ミトミ技研内において波浪起源の大気脈動現象の観測をした。その結果、大気脈動を複数回検知することができた。また、同時観測をしていた水晶振動式気圧計とPDSグラフを比較しても遜色なく周期0.2Hzの大気脈動を捉えていた。この時の大気脈動現象の振幅は±100mPa程度であったことから新型MEMS微気圧計のノイズレベルはおよそ10mPa程度であると考えられる。本発表では新型MEMS微気圧計の温度特性、湿度特性、安定性の評価結果と実観測結果を報告する。