日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-ZZ その他

[M-ZZ40] プラネタリーディフェンス—国際的な取り組みと協力

2024年5月29日(水) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:吉川 真(宇宙航空研究開発機構)、Michel Patrick(Universite Cote D Azur Observatoire De La Cote D Azur CNRS Laboratoire Lagrange)、奥村 真一郎(NPO法人日本スペースガード協会)

17:15 〜 18:45

[MZZ40-P04] 地球接近小惑星の軌道解析

*吉川 真1 (1.宇宙航空研究開発機構)

キーワード:地球接近天体、プラネタリーディフェンス、軌道、共鳴

太陽系小天体の地球衝突問題を扱うプラネタリーディフェンス(スペースガード)の活動の活発化により、地球接近天体(NEO = Near Earth Object)の発見個数が急速に増えて、2024年2月の時点で3万4千個を超えている。これら発見されているNEOについては軌道計算が行われており、近い将来には地球に衝突しないことは確認されているのであるが、まだ未発見の天体が非常に多く存在しており、それらについて早く発見をして地球への衝突の可能性があるかどうかを調べることがプラネタリーディフェンスとしてはまず重要である。一方で、NEOというものは、科学探査だけでなく有人ミッションや利用の可能性もある。ここでは、NEOの可能性を検討するために、特に地球とほぼ同じ公転周期の小惑星について着目し、その軌道運動の性質を調べることにした。2023年5月の時点での小惑星の軌道データでは、軌道長半径が0.99auから1.01auであるものは、179個あった。そのうち、軌道が正確に決定されて確定番号が付いているもの27個について現在を中心として±5000年間の軌道進化の特徴を調べてみたところ、長期間にわたって地球と共鳴状態にあるものが9個、また短期間について共鳴状態になるものが11個あった。つまり、公転周期がほぼ1年の小惑星の1/3が人類活動のタイムスケールで安定的な共鳴関係になっていることになる。これらは、地球からの距離がある範囲に留まることになり、科学的な探査だけでなく、利用の可能性も検討できるものである。さらに、残りの152個の仮符号の小惑星についても地球との共鳴状態にあるものが存在する可能性がある。つまり、地球と共鳴関係にある小惑星は結構その数が多い可能性があることになる。現在、より多くのNEOについてその軌道進化や惑星との接近を解析しており、その結果について報告する。