17:15 〜 18:45
[MZZ42-P04] CCZマンガン団塊鉱区におけるバイオターベーションの評価
キーワード:バイオターベーション、鉛210、放射性炭素年代、バイオターベーション係数、堆積速度、混合深度
底生生物の呼吸、移動、摂餌等の活動に起因した海底堆積物に対する乱れや混合が生じる事象は、「バイオターベーション」と呼ばれている(Lohrer et al., 2004など)。水柱から海底表面に降ってきた新しい粒子は、自然状態ではバイオターベーションにより、堆積物上部の数~数十cmに入り込んで分散している。一方、マンガン団塊等の海底鉱物資源開発に伴う採鉱活動は人為的に深海底を乱し、堆積物を巻き上げて懸濁プリュームを発生させ、その粒子が再堆積することによって周辺の環境が大きく変化することが想定される。したがって、採鉱活動によって再堆積した物質の挙動を予測するために、バイオターベーションを定量的に理解することは重要である。
国際海底機構(ISA)は、採鉱における環境影響評価や予測モデルを構築するために、210Pb分析によりバイオターベーション係数(Db)と混合深度(L)を推定してバイオターベーションを評価することを勧告している(ISBA/25/LTC/6/Rev.3)。しかし、広大なClarion-Clipperton Fracture Zone (CCZ) において、これまでに報告された先行研究は16地点のデータのみである(DeMaster and Cochran, 1982; Yu et al, 2023など)。本研究では、CCZ内に深海資源開発(株)(DORD)が保有するマンガン団塊探査鉱区のベースラインデータの一部として、2021年に4地点で採取した堆積物の210Pbの分析を行い、バイオターベーションの程度、深度を推定した。得られた試料のうち3地点分については14Cの分析も行い堆積速度を求めた。
堆積速度は加速器質量分析(AMS)法による各層の14C年代値から8.0~26.2 mm/kyrと推定した。また、堆積物試料の210Pbのガンマ線スペクトルの放射能濃度からexcess 210Pb放射能濃度を算出した。求めたexcess 210Pbの鉛直分布に対する近似曲線の係数と堆積速度を用いて、定常状態拡散モデルから堆積物のかく乱の程度を示すバイオターベーション係数Dbを0.14~1.9 cm2/yrと算出した。混合深度L は、excess 210Pbの鉛直分布に対する近似曲線を外挿した結果、9~31 cmと求められた。これらは、先行研究がCCZにおいてexcess 210Pbの鉛直分布から、定常状態拡散モデルを用いて報告したDbとLの値の範囲内であった。
国際海底機構(ISA)は、採鉱における環境影響評価や予測モデルを構築するために、210Pb分析によりバイオターベーション係数(Db)と混合深度(L)を推定してバイオターベーションを評価することを勧告している(ISBA/25/LTC/6/Rev.3)。しかし、広大なClarion-Clipperton Fracture Zone (CCZ) において、これまでに報告された先行研究は16地点のデータのみである(DeMaster and Cochran, 1982; Yu et al, 2023など)。本研究では、CCZ内に深海資源開発(株)(DORD)が保有するマンガン団塊探査鉱区のベースラインデータの一部として、2021年に4地点で採取した堆積物の210Pbの分析を行い、バイオターベーションの程度、深度を推定した。得られた試料のうち3地点分については14Cの分析も行い堆積速度を求めた。
堆積速度は加速器質量分析(AMS)法による各層の14C年代値から8.0~26.2 mm/kyrと推定した。また、堆積物試料の210Pbのガンマ線スペクトルの放射能濃度からexcess 210Pb放射能濃度を算出した。求めたexcess 210Pbの鉛直分布に対する近似曲線の係数と堆積速度を用いて、定常状態拡散モデルから堆積物のかく乱の程度を示すバイオターベーション係数Dbを0.14~1.9 cm2/yrと算出した。混合深度L は、excess 210Pbの鉛直分布に対する近似曲線を外挿した結果、9~31 cmと求められた。これらは、先行研究がCCZにおいてexcess 210Pbの鉛直分布から、定常状態拡散モデルを用いて報告したDbとLの値の範囲内であった。