17:15 〜 18:45
[MZZ43-P02] 地獄沼周辺地域におけるUAVを用いたクラック及び熱水の湧水地点の推定
キーワード:UAV、リモートセンシング、クラック、地熱探査
地熱発電を行う際の熱源となる高温高圧の熱水は地熱貯留層中の断裂内に存在するため,地下の断裂系を理解することは地熱発電において重要である.これらの断裂系の調査は,従来,文献調査,地形図や空中写真,物理探査や地下学調査,水質調査等をなどから行われてきていた.中でもリモートセンシングを用いた調査は,広域に実施することができるため,地熱探査の初期段階においては有用である.衛星画像を用いた探査のほかにも,重力偏差調査や電磁・磁気調査の測定器をヘリコプターに搭載させた空中物理探査が行われている.この方法により,広域で高解像度な推定が可能になったものの,1回の飛行調査に対するコストが高く,個人での測定が難しいという問題を抱えている.一方で,UAVを用いた探査は,飛行可能な場所であれば,即時的に空撮することが可能である.しかし,UAVに搭載可能な測器はいまだ限られる.そこで本研究ではUAVを用いた地熱探査の実用性を検証するため,UAVいくつかの測定器を搭載させ,そのデータを検討した.
調査地域は,青森県中央部に位置する北八甲田火山群地獄沼から南東約750 mの地点である.北八甲田火山群は十和田八幡平国立公園内に位置し,地熱ポテンシャルが高い地域である.その中でも地獄沼は特に地熱徴候が盛んな地域であり,蒸気の噴気などがみられる.本研究地域でも27.0℃や28.9℃の熱水の湧出が確認できたため(渡辺ほか, 投稿中),その周辺地域を調査対象にした.
本研究では,2022年10月にUAVにサーモグラフィ画像を撮影可能なカメラとレーザー測定器を搭載し,調査地域の温度情報と点群データを取得した.サーモ画像から温度分布図を作成し,熱源位置の推測を行った.また,点群データからDigital Elevation Model(DEM)を作成し,そのDEMから引いた等間隔の断面図から,調査地域の地表面の形状を観察した.さらに,温度分布図とDEMを重ね合わせ,断裂と湧水の関係を推定した.
温度分布図は,国道103号など特徴的な部分を基準点として重ね合わせを行い,温度情報とそれらの位置関係が把握できるマップを作成した.作成した温度分布図から河川の流れを確認できた.さらに,調査地域の最高温度(H1)は27.7℃であることが確認できた.この地点は,渡辺ほか(投稿中)の熱水の湧出地点と近い地点であった.本研究では,最高温度地点周辺に広がる周囲よりも高温の湧水の面的な分布を確認することができた.DEMはそれぞれ位置情報を持った点を3Dモデル作成ソフトウェアを用いてつなぎ合わせ,さらに,建物や樹木の高さを除いた地表面の高さを表示するようにして作成した.公開されている地質図と比較してより詳細で高精度のマップを取得することが可能である.また,断面図は北西-南東方向に86本, 北東-南西方向に63本をそれぞれ等間隔になるように引いた.DEMおよび,断面図から地表面の凹凸を確認することができ,特に,3本の連続する断裂が確認できた,加えて,断裂を境界にするように地表面の形状と標高が変化している事が確認できた.作成した温度分布図とDEMを重ね合わせ,地表面の連続する断裂と熱源H1が接していることを確認した.
以上のように,UAVによるリモートセンシングで熱水の湧出地点とクラック位置の推定を行う事が可能であった.それまでの踏査と比較しても低コスト,短期間での安全な探査により,高精度なマップの作成が容易になっており,UAV調査は地熱探査の初期調査に適用可能であることが示唆された.
調査地域は,青森県中央部に位置する北八甲田火山群地獄沼から南東約750 mの地点である.北八甲田火山群は十和田八幡平国立公園内に位置し,地熱ポテンシャルが高い地域である.その中でも地獄沼は特に地熱徴候が盛んな地域であり,蒸気の噴気などがみられる.本研究地域でも27.0℃や28.9℃の熱水の湧出が確認できたため(渡辺ほか, 投稿中),その周辺地域を調査対象にした.
本研究では,2022年10月にUAVにサーモグラフィ画像を撮影可能なカメラとレーザー測定器を搭載し,調査地域の温度情報と点群データを取得した.サーモ画像から温度分布図を作成し,熱源位置の推測を行った.また,点群データからDigital Elevation Model(DEM)を作成し,そのDEMから引いた等間隔の断面図から,調査地域の地表面の形状を観察した.さらに,温度分布図とDEMを重ね合わせ,断裂と湧水の関係を推定した.
温度分布図は,国道103号など特徴的な部分を基準点として重ね合わせを行い,温度情報とそれらの位置関係が把握できるマップを作成した.作成した温度分布図から河川の流れを確認できた.さらに,調査地域の最高温度(H1)は27.7℃であることが確認できた.この地点は,渡辺ほか(投稿中)の熱水の湧出地点と近い地点であった.本研究では,最高温度地点周辺に広がる周囲よりも高温の湧水の面的な分布を確認することができた.DEMはそれぞれ位置情報を持った点を3Dモデル作成ソフトウェアを用いてつなぎ合わせ,さらに,建物や樹木の高さを除いた地表面の高さを表示するようにして作成した.公開されている地質図と比較してより詳細で高精度のマップを取得することが可能である.また,断面図は北西-南東方向に86本, 北東-南西方向に63本をそれぞれ等間隔になるように引いた.DEMおよび,断面図から地表面の凹凸を確認することができ,特に,3本の連続する断裂が確認できた,加えて,断裂を境界にするように地表面の形状と標高が変化している事が確認できた.作成した温度分布図とDEMを重ね合わせ,地表面の連続する断裂と熱源H1が接していることを確認した.
以上のように,UAVによるリモートセンシングで熱水の湧出地点とクラック位置の推定を行う事が可能であった.それまでの踏査と比較しても低コスト,短期間での安全な探査により,高精度なマップの作成が容易になっており,UAV調査は地熱探査の初期調査に適用可能であることが示唆された.