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[MZZ46-P19] おおいた豊後大野ジオパークにおける国重要文化的景観「緒方川と緒方盆地の農村景観」の位置づけ
キーワード:おおいた豊後大野ジオパーク、文化的景観、緒方川、緒方盆地、農村景観、文化財
豊後大野市緒方町はおおいた豊後大野ジオパークの西部にあたり、大野川支流の緒方川沿いに開けた緒方盆地とそれに隣接する軸丸地区が「緒方川と緒方盆地の農村景観」として、令和5年3月に国の重要文化的景観に選定された。この景観は、およそ9万年前の阿蘇火山巨大噴火による火砕流に覆われた大地を河川が侵食することによって形成された段丘面上や丘陵部において、時代とともに灌漑用の水路網が整備され、それに伴って水田が広がっていったことで成立したものである。
重要文化的景観の構成する要素には、地域内に張り巡らされたいくつかの水路(井路)のほか、水田範囲を広くとるために水路の山側に集められた集落、水路沿いに見られる水汲み場(くんば)、石橋、揚水水車はもちろん、阿蘇火砕流の溶結凝灰岩に形成された滝や、磨崖仏や石風呂といった石造物も挙げられている。これらのうち、原尻の滝、宮迫東・西石仏、辻河原石風呂の3カ所はジオパークのサイトにもなっている。
ジオパークは、このような景観が作り上げられた要因となった地形・地質から、そこに育まれた文化や人々の営みとの関わりを解き明かしていくものである。これに対し文化的景観は、いま目の当たりにしている景観から、景観が形成された経緯や歴史的背景を掘り下げていくものであると言うことができる。両者はまさに表裏の関係であり、両者が一体となることで、自然と文化が融合した、より深い理解が得られるものと考えられる。
おおいた豊後大野ジオパークでは、市の文化財部局が推進協議会事務局の一端を担っており、地質系の専門員も文化財担当者と席を並べて業務をおこなっている。そのため、文化的景観をはじめとする歴史・文化に関する事象にも地質専門員が密接に関わることができ、この文化的景観の理解をより深めることが可能となったと言うことができる。今後もさらにジオパークと文化財行政との連携を強め、双方の価値をより高めていきたいと考えている。
重要文化的景観の構成する要素には、地域内に張り巡らされたいくつかの水路(井路)のほか、水田範囲を広くとるために水路の山側に集められた集落、水路沿いに見られる水汲み場(くんば)、石橋、揚水水車はもちろん、阿蘇火砕流の溶結凝灰岩に形成された滝や、磨崖仏や石風呂といった石造物も挙げられている。これらのうち、原尻の滝、宮迫東・西石仏、辻河原石風呂の3カ所はジオパークのサイトにもなっている。
ジオパークは、このような景観が作り上げられた要因となった地形・地質から、そこに育まれた文化や人々の営みとの関わりを解き明かしていくものである。これに対し文化的景観は、いま目の当たりにしている景観から、景観が形成された経緯や歴史的背景を掘り下げていくものであると言うことができる。両者はまさに表裏の関係であり、両者が一体となることで、自然と文化が融合した、より深い理解が得られるものと考えられる。
おおいた豊後大野ジオパークでは、市の文化財部局が推進協議会事務局の一端を担っており、地質系の専門員も文化財担当者と席を並べて業務をおこなっている。そのため、文化的景観をはじめとする歴史・文化に関する事象にも地質専門員が密接に関わることができ、この文化的景観の理解をより深めることが可能となったと言うことができる。今後もさらにジオパークと文化財行政との連携を強め、双方の価値をより高めていきたいと考えている。