16:15 〜 17:00
[O01-02] レジリエントな社会構築に向けた地形変化研究の挑戦
★招待講演
キーワード:人新世、土地利用、複合災害、地球表層プロセス、地形システム、令和6年能登半島地震
令和6年能登半島地震(Mw7.5)に伴い、活断層変位に伴う約4mの海底面の隆起・段丘化、最大波高5mを超える津波による侵食・堆積、2000カ所を超える地すべり・崩壊による土砂移動、盛土地や沖積低地の液状化と側方流動が、広域でほぼ同時多発しました。こうした多種多様な地形変化の連鎖が複合災害を生んだともいえます。地形変化は、生命や暮らしを奪い、道路や港湾を破壊し、地域社会システムを機能不全に陥れました。変化する地形のうえに人々の暮らしがあること、地形は突然、広域で連鎖的に変化しうることを深く再認識させられました。能登半島の地形は、第四紀の隆起運動と地すべり斜面変動、河川・海岸地形プロセス等の相互作用によって形成されてきました。半島を中心とした日本海側の広域地形システムが、地震のインパクトを受け、新たな平衡状態へ向けて変化し続けています。
この規模の地震の発生頻度は数千年に一度程度の可能性があります。「現在を鍵として過去を知ること」が必要です。「過去を鍵として未来を知ることが、現在を生きる鍵」となり、持続可能でレジリエントな社会構築への活路をひらくからです。過去を鍵とするには、グレートアクセラレーションを無視できません。地形でいえば、自然営力による地形に加え、人為営力が加わった地形(人為影響地形と人造地形そのもの)の理解が不可欠です。そして、これらの地形が共存し、前者から後者への置き換わりが急進中ゆえに、地形変化研究に、新たな意義と使命が生じています。
地形は空間的に多様で、その様がそのまま見える、という特徴があります。多圏相互作用の場であり、固体地球と大気海洋の仲介役、生態系や人間社会を支える根源的なコモンズでもあります。人命と社会インフラを載せた舞台そのものです。それゆえ、これから壊され再生される地形の未来の姿を知ることが、地形災害軽減と土地資源の持続的利用の要となります。ある地形事象を、なぜ、その時代にその場所にあるのかという時空間的なつながりの中においてみる、観測者もその中に身を置き、経験知(値)を高めながら、地形の野外調査を進めていくことは、地形変化研究の醍醐味です。
この講演では、2011年東北日本太平洋沖地震での固定河道津波遡上と人工地盤液状化、2018年7月豪雨(西日本豪雨)での強風化斜面崩壊と土石流、2019年東日本台風での洪水流路短絡、2024年能登半島地震での隆起と地すべり変動の調査事例を紹介します。固体地球の表面形態を扱う対象学問から、自然環境と人間社会の接点領域を担う総合学問へ地形変化の研究は発展途上にあります。その混沌の中での挑戦の一端をお伝えできればと思います。
この規模の地震の発生頻度は数千年に一度程度の可能性があります。「現在を鍵として過去を知ること」が必要です。「過去を鍵として未来を知ることが、現在を生きる鍵」となり、持続可能でレジリエントな社会構築への活路をひらくからです。過去を鍵とするには、グレートアクセラレーションを無視できません。地形でいえば、自然営力による地形に加え、人為営力が加わった地形(人為影響地形と人造地形そのもの)の理解が不可欠です。そして、これらの地形が共存し、前者から後者への置き換わりが急進中ゆえに、地形変化研究に、新たな意義と使命が生じています。
地形は空間的に多様で、その様がそのまま見える、という特徴があります。多圏相互作用の場であり、固体地球と大気海洋の仲介役、生態系や人間社会を支える根源的なコモンズでもあります。人命と社会インフラを載せた舞台そのものです。それゆえ、これから壊され再生される地形の未来の姿を知ることが、地形災害軽減と土地資源の持続的利用の要となります。ある地形事象を、なぜ、その時代にその場所にあるのかという時空間的なつながりの中においてみる、観測者もその中に身を置き、経験知(値)を高めながら、地形の野外調査を進めていくことは、地形変化研究の醍醐味です。
この講演では、2011年東北日本太平洋沖地震での固定河道津波遡上と人工地盤液状化、2018年7月豪雨(西日本豪雨)での強風化斜面崩壊と土石流、2019年東日本台風での洪水流路短絡、2024年能登半島地震での隆起と地すべり変動の調査事例を紹介します。固体地球の表面形態を扱う対象学問から、自然環境と人間社会の接点領域を担う総合学問へ地形変化の研究は発展途上にあります。その混沌の中での挑戦の一端をお伝えできればと思います。