日本地球惑星科学連合2024年大会

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[J] 口頭発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-02] なぜ生物は生体鉱物を作るのか?〜アート思考による科学の進展〜

2024年5月26日(日) 10:45 〜 12:00 101 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:荒木 優希(金沢大学)、豊福 高志(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、長井 裕季子(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)、座長:豊福 高志(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、長井 裕季子(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)


11:10 〜 11:25

[O02-02] 化石化学合成群集の研究におけるサイエンスイラストレーションの効果―鯨骨群集と沈木群集に着目して―

*關 明日香1ジェンキンズ ロバート2 (1.金沢大学大学院自然科学研究科、2.金沢大学理工研究域地球社会基盤学系)

キーワード:化学合成群集、鯨骨群集、沈木群集、サイエンスイラストレーション

化学合成群集は化学合成によってエネルギーを生み出す生態系のことを指し,深海や熱水噴出孔などの極限環境で見られる.光が届かない深海底や熱水の放出部など,光合成ができない環境では,化学合成が生物の重要なエネルギー源となる.鯨や材などの有機物塊が海底に沈殿し,その腐敗過程で有機物塊を分解する様々な生物が集まり,化学合成群集が形成される.化学合成化石群集は,古海洋の環境条件などの地質学的な変化について情報を提供し,生物の進化のメカニズムや極限環境への進出過程を理解する上で重要な役割を持つ.
 化学合成化石群集の研究を行う上で,科学的根拠に基づいたスケッチや復元画を作成することは,化石から推測された生物の外観や行動,生態系のあり様を視覚的に捉えやすくし,学者だけでなく一般の人々への理解と普及に役立つ.また,芸術的な技法やスタイルを学ぶことでより視認性に優れたイラストレーションを作ることができる.これらのサイエンスイラストレーションによる化石の復元の役割と重要性,科学普及への貢献について紹介する.