日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-02] なぜ生物は生体鉱物を作るのか?〜アート思考による科学の進展〜

2024年5月26日(日) 10:45 〜 12:00 101 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:荒木 優希(金沢大学)、豊福 高志(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、長井 裕季子(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)、座長:豊福 高志(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、長井 裕季子(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)


11:40 〜 12:00

[O02-04] 多様な観点から見た糞化石:鉱物化作用、アート思考、さらに…

*泉 賢太郎1 (1.千葉大学)

キーワード:糞化石、鉱物化作用

コプロライト(脊椎動物の糞化石)は、一般的には古生物学あるいは考古学的な文脈で研究されることが多い。コプロライトの中に保存された未消化物を分析することで、古生物の食性についての知見を得ることができる。しかし、コプロライトに残された古生物学的な情報が、初生的な情報をどの程度反映しているかは不明である。
コプロライトを構成する鉱物は、リン酸カルシウムや炭酸カルシウムなどであることが多い。微生物による有機物の分解に伴って放出されるリン酸イオンや炭酸水素イオンが、間隙水中のカルシウムイオンと反応することによって急速に形成されると考えられている。リン酸カルシウムからなるコプロライトの中には、筋肉組織など通常は速やかに分解されてしまう軟組織が鉱物化して保存されている場合もある。ただし有機物の分解に関わる微生物の種類や、糞や未消化物の鉱物化作用が起こる詳細な条件など、未解明の点も多く残っている。
このような未解明点の一部については、アートや医療や動物飼養といった様々な分野の観点や方法を通して動物の糞を見ることで、ヒントが得られるかもしれない。本講演では、コプロライトの理解の深化に繋がり得るいくつかの観点のアイデアを紹介し、様々な分野の方々への話題提供や交流のキッカケとしたい。