09:45 〜 10:00
[O04-04] COSIA(海洋科学コミュニケーション講座)をアウトリーチ活動に役立てるための「科学の伝え方講座」の実践
キーワード:海洋リテラシー、COSIA、科学コミュニケーション、能動的な学習、教授学的知識
海洋に関連する科学(以降、海洋科学)の知見を持つ人が行う講演や出前授業、イベントでの解説などは、一般市民へ海洋の魅力を伝え海洋リテラシーを浸透させるために大切な活動である。
こうしたアウトリーチ学習の場が楽しく、知的好奇心を刺激される忘れ難い体験となれば、参加した市民にとってそれは海洋学との貴重な出会いとなり、さらに知りたいという学習意欲がうまれ、またそれを誰か他の人に伝える行動につながるだろう。
海の自然史研究所(以降、海研)では、海洋科学の専門家や海洋について伝えようとする人が、そうした「参加者が学びたい意欲を高める学習の場」をつくれるように、そしてそれが海洋をより良く理解してもらえる場になるような「科学の伝え方講座」をおこなっている。
この講座は、米国で開発されたCOSIA(海洋科学コミュニケーション講座)をベースにしている。
COSIAとは、海洋に関連のある科学を専攻する学部生や大学院を主な対象とし、彼らが「探究」を重視する科学教育の教授法や教育論を学ぶことで、彼らの知識を社会に伝えるスキルの習得を目指す講座である。大学や大学院で半期のセッションで行う講座として開発され、教室での講座とワークショップ、水族館や学校でのアウトリーチ実習で構成されている。
COSIAでは、教授・学習に関わる研究知見をもとに「伝わる=相手(非専門家)が理解する」こと、そして「(非専門家が)理解する=能動的に学ぶことによって実現する」ことであるととらえている。そのため、COSIAで学ぶコミュニケーションスキルは、オーディエンスが誰であれ、「相手の能動的な学習を促す場を作るスキル」である。
海研でおこなう「科学の伝え方講座」は、このCOSIAをアレンジしている。これまでに、大学の教員養成課程で学ぶ学生向け、水族館などの職員向け、一般市民に海洋について教える教室を開催する職員向け、などに実施してきたが、それぞれが対象とするオーディエンスの特徴(人数や年齢、開催場所など)に合わせて講座内容をアレンジしている。
COSIAは12セッションで構成されているが、その主な内容は大きく(1)科学の本質と実践についてのふりかえり、(2)学習者が能動的に学べる学習モデルの紹介、(3)探究的な学習を促す問いかけや受け答え、(4)学習に用いる物(教材)の役割と使い方、(5)インクルーシブな学習の場のデザインのあり方、である。それぞれのセッションは模範アクティビティを学習者が体験し、そのポイントを振り返りながら学べるよう工夫されている。海研が行う講座においても、模範アクティビティを体験してもらい、それを振り返りながら「伝え方」のポイントを学んでいくデザインを採用している。
海研がアレンジして行う場合、2日間講座で行うことが多い。例えば、普段は小さい子ども向けに教える機会もなく、教える内容や用意する教材についても自分で一から考えて海の授業を行わなくてはならない、という人向けの講座の概要は下記のとおりである。
これまでの学習(教わった)経験、教えてくれた先生の授業を思い出してもらう→同じ概念を違うアプローチで学習する体験をとおして、学び方と教え方の多様性に気づいてもらう→教育学からひも解く学習の組み立てを紹介する→その構成で組み立てた科学プログラムを体験して学習者としてどう感じるかを振り返る→教える側としてどのように授業を組み立てるか企画する→発表し合い講評し合う。このような講座内容で、受講者が「学習者としての体験を、教育学の知見を元に振り返ることによって、伝える・教える立場に生かせる」ようにしている。
受講者から聞かれる反応としては「いろいろな教え方・学び方のパターンを知ることで、それぞれのメリット、デメリットを知ることができた」、「授業の流れの組み立て方、教材の選択のしかたを実例で知ることができた」、「全体の流れだけでなく、セリフまで作り込んで準備することが大切だとわかった」といったコメントが得られており、受講者が伝える活動のために必要なことが理解でき、また講座内で具体的な企画・準備作業をしてみることで実際の活動に向けて明確なイメージが得られたことがわかる。さらに受講者は、講習受講後、実際にアウトリーチ活動で好評を得るなどの実績も挙げている。
こうしたアウトリーチ学習の場が楽しく、知的好奇心を刺激される忘れ難い体験となれば、参加した市民にとってそれは海洋学との貴重な出会いとなり、さらに知りたいという学習意欲がうまれ、またそれを誰か他の人に伝える行動につながるだろう。
海の自然史研究所(以降、海研)では、海洋科学の専門家や海洋について伝えようとする人が、そうした「参加者が学びたい意欲を高める学習の場」をつくれるように、そしてそれが海洋をより良く理解してもらえる場になるような「科学の伝え方講座」をおこなっている。
この講座は、米国で開発されたCOSIA(海洋科学コミュニケーション講座)をベースにしている。
COSIAとは、海洋に関連のある科学を専攻する学部生や大学院を主な対象とし、彼らが「探究」を重視する科学教育の教授法や教育論を学ぶことで、彼らの知識を社会に伝えるスキルの習得を目指す講座である。大学や大学院で半期のセッションで行う講座として開発され、教室での講座とワークショップ、水族館や学校でのアウトリーチ実習で構成されている。
COSIAでは、教授・学習に関わる研究知見をもとに「伝わる=相手(非専門家)が理解する」こと、そして「(非専門家が)理解する=能動的に学ぶことによって実現する」ことであるととらえている。そのため、COSIAで学ぶコミュニケーションスキルは、オーディエンスが誰であれ、「相手の能動的な学習を促す場を作るスキル」である。
海研でおこなう「科学の伝え方講座」は、このCOSIAをアレンジしている。これまでに、大学の教員養成課程で学ぶ学生向け、水族館などの職員向け、一般市民に海洋について教える教室を開催する職員向け、などに実施してきたが、それぞれが対象とするオーディエンスの特徴(人数や年齢、開催場所など)に合わせて講座内容をアレンジしている。
COSIAは12セッションで構成されているが、その主な内容は大きく(1)科学の本質と実践についてのふりかえり、(2)学習者が能動的に学べる学習モデルの紹介、(3)探究的な学習を促す問いかけや受け答え、(4)学習に用いる物(教材)の役割と使い方、(5)インクルーシブな学習の場のデザインのあり方、である。それぞれのセッションは模範アクティビティを学習者が体験し、そのポイントを振り返りながら学べるよう工夫されている。海研が行う講座においても、模範アクティビティを体験してもらい、それを振り返りながら「伝え方」のポイントを学んでいくデザインを採用している。
海研がアレンジして行う場合、2日間講座で行うことが多い。例えば、普段は小さい子ども向けに教える機会もなく、教える内容や用意する教材についても自分で一から考えて海の授業を行わなくてはならない、という人向けの講座の概要は下記のとおりである。
これまでの学習(教わった)経験、教えてくれた先生の授業を思い出してもらう→同じ概念を違うアプローチで学習する体験をとおして、学び方と教え方の多様性に気づいてもらう→教育学からひも解く学習の組み立てを紹介する→その構成で組み立てた科学プログラムを体験して学習者としてどう感じるかを振り返る→教える側としてどのように授業を組み立てるか企画する→発表し合い講評し合う。このような講座内容で、受講者が「学習者としての体験を、教育学の知見を元に振り返ることによって、伝える・教える立場に生かせる」ようにしている。
受講者から聞かれる反応としては「いろいろな教え方・学び方のパターンを知ることで、それぞれのメリット、デメリットを知ることができた」、「授業の流れの組み立て方、教材の選択のしかたを実例で知ることができた」、「全体の流れだけでなく、セリフまで作り込んで準備することが大切だとわかった」といったコメントが得られており、受講者が伝える活動のために必要なことが理解でき、また講座内で具体的な企画・準備作業をしてみることで実際の活動に向けて明確なイメージが得られたことがわかる。さらに受講者は、講習受講後、実際にアウトリーチ活動で好評を得るなどの実績も挙げている。