日本地球惑星科学連合2024年大会

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[J] ポスター発表

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[O-08] 高校生ポスター発表

2024年5月26日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、道林 克禎(名古屋大学 大学院環境学研究科 地球惑星科学系 岩石鉱物学研究室)、久利 美和(文部科学省)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)

13:45 〜 15:15

[O08-P05] 次の桜島大噴火時の降灰を予想するⅢ

*浜田 翔世1、*久保 悠太1、中村 一護1、本村 隆太1、松本 直人1 (1.鹿児島県立国分高等学校)

キーワード:桜島、風向、降灰分布

1914年(大正3年)に桜島が大噴火して今年で110年経ち,研究によると桜島の地下にあるマグマだまりは9割ほどマグマが充填され,この数十年以内に大噴火すると予想されている。桜島が大噴火した際,時期によりどの方向に降灰があるかを明らかにするため,桜島上空の風向きの傾向を調べることにした。昨年度までの3年間,先輩達が以下のことを明らかにしてきた。分析したデータは2013年~2022年のものである。0~5km,5~20km,20~40kmの3つの高さに区分して風向の傾向を調べると,次の傾向があった。0~5kmは西寄りの風が多めだが,値のバラツキが大きい。5~20kmはほぼ西寄りの風,20~40kmはほぼ東寄りの風が多く,高さにより風向の傾向が異なることが分かった。鹿児島地方気象台Webページに公開されている1日2回9時と21時の高度別の風向データを入手し,活用した。鹿児島地方気象台に問い合わせたところ,桜島上空の風向きと気象台で観測した風のデータに違いがほぼなく,日頃の降灰予報に活用しているとのことだったので,このデータを桜島上空の風向きとして研究に使用することにした。今回我々が使用したデータは2012年1月から同年12月末までの34,732個である。次回の桜島大噴火が110年前の大正噴火と同じ規模であると予想すると,噴煙柱は高度15kmまで上昇すると思われる。従って,今回我々の研究では,0~20kmまでの風のデータに絞って研究を行った。2012年1月~12月の朝9時の結果では,7~9月の夏は主に南寄りの風,それ以外の時期は主に西~南西の風が吹いていることが分かった。2012年1月~12月の21時の結果では,朝9時のデータとほぼ同じ傾向であった。ただし,11月~3月まではどの高さもほぼ西の風で一定である。この傾向はジェット気流の影響だと思われる。110年前の大正噴火では,霧島市でも30cm以上の降灰が確認されている。噴火活動が最も激しかったのは1914年1月~2月にかけてである(鹿児島県立博物館1985)が,それ以降も断続的に噴火活動が継続しており,夏場の噴火活動による降灰で霧島市に相当量の降灰があったのではないかと思われる。従って,我々の今回の研究をまとめると,7~9月に桜島の大噴火が起こると降灰は主に霧島市方面に向かうことが予想される。これ以外の時期は大隅半島方向へ降灰が向かうことが予想される。7~9月の夏場に大噴火が起こることを想定して霧島市では今のうちから対策を立てるべきである。