13:45 〜 15:15
[O08-P102] ラドン温泉水に含まれる放射性物質の測定
キーワード:放射性崩壊、地下水、地質
背景本研究では,先行研究の実験方法を踏襲し,購入したラドン温泉水中に含まれるラドン222(Rn222)を活性炭で吸着することで,放射性崩壊に伴って放射されるβ線から,地下水に含まれる放射性物質含有量を測定する実験を行った。実験は,a.実験時の気温,b.実験時の水温を変数として行い,それら2要素が結果にどのような影響を与えるかを考察した。本研究が発展することで,ボーリング調査をせずに,放射性物質をマーカーとした地質調査が可能となると考えられる。本研究の趣旨大西らは活性炭を用いた地下水中のラドン222(Rn222)のβ線を測定する方法を述べている。また,花崗岩にラドンが多く含まれている事がわかっており,地下水中にラドンが含まれていれば,その地下水が溜まっている地層には花崗岩が含まれている事が示唆される。これらのこと(大西らの研究と花崗岩にラドンが含まれているという事実)から八郷は,国分寺崖線の野川流域を中心として複数地点で地下水を採水し,実施して地下水中の放射性物質の有無を調べ,地質との関係を考察した。しかしながら,本実験は以下に挙げるように再現性,妥当性に課題が残っている。
・手で振っている
・川の一部の水しか採水できていない
・「花崗岩には放射性核種が多く含まれていること」から「武蔵野台の礫層がラドンを含む花崗岩である」と言えるか
・気温,水温等との関係性がわかっていない
そこで本研究では,大西,八郷らによって実施された実験の再現性や妥当性を向上させることを目的とする。実験方法地下水を湧き水から2Lペットボトルn本分(実際に測定で扱うのは一本分あたり1.6L)採取した。地下水1.75Lが入った2Lペットボトルを90秒程度縦向きに激しく振り,水相に含まれるラドンを気相中へ追い出した。気相中に含まれるラドン222を実験装置(図1)を使って回収した。本装置は,地下水1.75Lの入った2LペットボトルP1にガラス管G1を伝って水を一定の速度で落とすことで,空気中に含まれているラドン222をガラス管G2を介して活性炭Cに取り込むことを可能にする。なお,この活性炭はあらかじめ電子レンジで3秒間×3〜3回焼き,活性炭に付着している水分を取り除いたものである。さらに,この実験装置のG2ガラス間にスポンジを入れ,水が活性炭Cに流入することを防ぐように改良した。(2)〜(3)を,採取した全てのペットボトルに対して行ったあと,活性炭を取り外し,活性炭の中身を薄いビニールで覆った。あらかじめ30分以上バックグラウンドを測定しておいたβ線測定器の前に(4)の活性炭Cを置き,活性炭に付着したラドン222がα崩壊した後,子孫核種である鉛214(Pb214)とビスマス214(Bi214)がβ崩壊する際のβ線をガイガーカウンター(図2)で測定した。(5)で測定した値からバックグラウンド値を減算し,ラドン測定値を求めた。なお,以後(5)の実測値と区別するために,これを測定値と呼ぶ。(1)〜(5)を,以下に示した条件を変えて実験を行った。a. 実験時の気温
b. 実験時の水温展望先行研究での大きなテーマは,「地下水のラドン含有量と地盤の関係性」を調査することだ。八郷の研究によると,地下水のラドン含有量は場所によって異なり,地下水が通ってきた層と関係あるとのことであった。八郷は「花崗岩には放射性核種が多く含まれている」ことから,「武蔵野台の礫層がラドンを含む花崗岩なのではないか」と考察していた。しかし,それは本当に正しいと断言できるものではないと思う。
そこで,地質があらかじめ先行研究からわかっている場所で,地下水を汲んで実験を行い,その実験結果が先行研究と合致すれば,この実験は正しい手法であると断言できるようになると考えた。その後はこの実験を地質がわかっていない他の場所に応用していこうというのが探究の大まかな流れである。実験精度の揺れの改善「誰が・いつ・どこで」行っても同じ結果になるような実験を目指したいと考えている。そこで,実験の条件を変えながら試行錯誤をして実験精度の揺れを少なくしていくというのが最初の課題である。実験の正確性の証明地質調査により花崗岩質が含まれていると判明している場所で実験を行い,実験の正確性を検証する。実験の応用(2)までの実験を応用して,地質がわかっていない場所の地質を,この実験によって考察する。
・手で振っている
・川の一部の水しか採水できていない
・「花崗岩には放射性核種が多く含まれていること」から「武蔵野台の礫層がラドンを含む花崗岩である」と言えるか
・気温,水温等との関係性がわかっていない
そこで本研究では,大西,八郷らによって実施された実験の再現性や妥当性を向上させることを目的とする。実験方法地下水を湧き水から2Lペットボトルn本分(実際に測定で扱うのは一本分あたり1.6L)採取した。地下水1.75Lが入った2Lペットボトルを90秒程度縦向きに激しく振り,水相に含まれるラドンを気相中へ追い出した。気相中に含まれるラドン222を実験装置(図1)を使って回収した。本装置は,地下水1.75Lの入った2LペットボトルP1にガラス管G1を伝って水を一定の速度で落とすことで,空気中に含まれているラドン222をガラス管G2を介して活性炭Cに取り込むことを可能にする。なお,この活性炭はあらかじめ電子レンジで3秒間×3〜3回焼き,活性炭に付着している水分を取り除いたものである。さらに,この実験装置のG2ガラス間にスポンジを入れ,水が活性炭Cに流入することを防ぐように改良した。(2)〜(3)を,採取した全てのペットボトルに対して行ったあと,活性炭を取り外し,活性炭の中身を薄いビニールで覆った。あらかじめ30分以上バックグラウンドを測定しておいたβ線測定器の前に(4)の活性炭Cを置き,活性炭に付着したラドン222がα崩壊した後,子孫核種である鉛214(Pb214)とビスマス214(Bi214)がβ崩壊する際のβ線をガイガーカウンター(図2)で測定した。(5)で測定した値からバックグラウンド値を減算し,ラドン測定値を求めた。なお,以後(5)の実測値と区別するために,これを測定値と呼ぶ。(1)〜(5)を,以下に示した条件を変えて実験を行った。a. 実験時の気温
b. 実験時の水温展望先行研究での大きなテーマは,「地下水のラドン含有量と地盤の関係性」を調査することだ。八郷の研究によると,地下水のラドン含有量は場所によって異なり,地下水が通ってきた層と関係あるとのことであった。八郷は「花崗岩には放射性核種が多く含まれている」ことから,「武蔵野台の礫層がラドンを含む花崗岩なのではないか」と考察していた。しかし,それは本当に正しいと断言できるものではないと思う。
そこで,地質があらかじめ先行研究からわかっている場所で,地下水を汲んで実験を行い,その実験結果が先行研究と合致すれば,この実験は正しい手法であると断言できるようになると考えた。その後はこの実験を地質がわかっていない他の場所に応用していこうというのが探究の大まかな流れである。実験精度の揺れの改善「誰が・いつ・どこで」行っても同じ結果になるような実験を目指したいと考えている。そこで,実験の条件を変えながら試行錯誤をして実験精度の揺れを少なくしていくというのが最初の課題である。実験の正確性の証明地質調査により花崗岩質が含まれていると判明している場所で実験を行い,実験の正確性を検証する。実験の応用(2)までの実験を応用して,地質がわかっていない場所の地質を,この実験によって考察する。