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[O08-P61] ICT教育環境対応の簡易偏光装置の開発
キーワード：簡易偏光観察装置の開発、ICT教育環境
1 背景と目的
岩石薄片を観察する偏光顕微鏡は高価なため、多くの学校で用いることができずにいる。そこで、偏光顕微鏡がなくても観察できる手作りの装置が開発されてきた。生物顕微鏡に回転ステージをセットする方法（渡辺,1972；宇留野・福岡,1982；鬼木,2016；Ian Walker,2005；Microbehunter Microscopy,2020）、顕微鏡を用いず偏光板と回転ステージを備えた簡易偏光観察装置（下野,1977；三輪,2000；鹿江,2000；佐脇,2020）などである。回転ステージの材料として、CD、CDケース、分度器、紙コップ、フィルムケース、金属製のの回転盤などを使用している。なお、回転ステージがない偏光装置だけの装置は多数ある。
今の学校の授業はICT教育環境の整備が進み、スマホやタブレット端末を使用するグループワークが多い。ところが、それに即した装置開発の先行研究例は見当たらない。そこで、①現代のICT教育環境に対応できる教具（簡易偏光装置）を提供し、②岩石組織の学習を通して児童・生徒が地学に興味を持つことができるようにすることを目的とした。
２ 研究手法
①ICT教育環境に即した偏光装置と回転ステージを備えた簡易偏光装置の開発・製作
②高校2年生70人へのアンケートにより、装置を使った教育効果などを把握する
３ 顕微鏡を使わない簡易偏光装置の開発・製作 特徴データと結果
＜装置A 図１，２，３＞(1)厚紙またはプラ板を切り抜き偏光板を挟み組み合わせた (2)製作費が非常に安い (3)光源は天井の蛍光灯や窓から入る光 (4)保管場所をとらない
＜装置B 図４，５，６，７＞(1)現代の教育環境（ICT教育環境・グループ学習）に対応できる (2)スムーズに回るレイジースーザンターンテーブルをステージに使用 (3)2時間程度連続使用ができる充電型COB LEDライトを光源として使用 (4)スマホやタブレット端末で拡大撮影できるスタンドを備えている (5)屋外へ持ち出しも可能 (6)回転ステージだけ生物顕微鏡にセットでき、汎用性が高い（図８）
４ 簡易偏光装置を使用したアンケート結果
この装置を授業に取り入れたら地学に興味を持つきっかけになると思うか。という質問に対し、約８１％の生徒から肯定的な回答を得た（図９）。装置を使用した効果や感想として、「調節が簡単で、使いやすい。顕微鏡のように目が疲れたり、マスクで曇ったりせず見やすい。スマホの写真が綺麗に撮れて良い。小さくて手軽、持ち運べて、安価な点もいい。岩石の組織がよく見えた。グループ学習に最適だと思う。」などといったプラスの意見が多くあげられた。
５ 考察及び今後の展望
目的①②が達成され、装置を使った教育効果もあると判断できた。今後、アンケート結果をもとに、装置の改善に努めたい。また、高校だけでなく、中学の理科第2分野地学領域での活用も見込まれるため、広く装置を普及させたい。
参考文献
・渡辺専一1972 生物顕微鏡を偏光顕微鏡として利用するための装置とその光源装置の製作 第4回東レ理科教育賞
・宇留野勝敏・福岡孝1982 自然をしらべる地学シリーズ３, 東海大出版社，50-53
・鬼木哲人2016 岩石薄片作成を取り入れた火成岩の学習 教育実践研究，no.26,91-96
・Ian Walker.(2005).A Simple Rotating Stage Attachment for the Zeiss Axiostar and other biological microscopes.microscopy-UK 2005年 5月号
・Microbehunter Microscopy(2020).Making a rotating microscope stage for polarization microscopy
・下野洋1977 簡易偏光拡大器の製作とその利用 第9回東レ理科教育賞
・三輪伸央2000 生徒が作れる簡易偏光顕微鏡の利用 第32回東レ理科教育賞
・鹿江宏明2000 簡易型偏光装置の製作とその教材化 第32回東レ理科教育賞
・佐脇貴幸2020 偏光観察台での薄片観察 GSJ地質ニュース VOL.9NO.9 255-262
岩石薄片を観察する偏光顕微鏡は高価なため、多くの学校で用いることができずにいる。そこで、偏光顕微鏡がなくても観察できる手作りの装置が開発されてきた。生物顕微鏡に回転ステージをセットする方法（渡辺,1972；宇留野・福岡,1982；鬼木,2016；Ian Walker,2005；Microbehunter Microscopy,2020）、顕微鏡を用いず偏光板と回転ステージを備えた簡易偏光観察装置（下野,1977；三輪,2000；鹿江,2000；佐脇,2020）などである。回転ステージの材料として、CD、CDケース、分度器、紙コップ、フィルムケース、金属製のの回転盤などを使用している。なお、回転ステージがない偏光装置だけの装置は多数ある。
今の学校の授業はICT教育環境の整備が進み、スマホやタブレット端末を使用するグループワークが多い。ところが、それに即した装置開発の先行研究例は見当たらない。そこで、①現代のICT教育環境に対応できる教具（簡易偏光装置）を提供し、②岩石組織の学習を通して児童・生徒が地学に興味を持つことができるようにすることを目的とした。
２ 研究手法
①ICT教育環境に即した偏光装置と回転ステージを備えた簡易偏光装置の開発・製作
②高校2年生70人へのアンケートにより、装置を使った教育効果などを把握する
３ 顕微鏡を使わない簡易偏光装置の開発・製作 特徴データと結果
＜装置A 図１，２，３＞(1)厚紙またはプラ板を切り抜き偏光板を挟み組み合わせた (2)製作費が非常に安い (3)光源は天井の蛍光灯や窓から入る光 (4)保管場所をとらない
＜装置B 図４，５，６，７＞(1)現代の教育環境（ICT教育環境・グループ学習）に対応できる (2)スムーズに回るレイジースーザンターンテーブルをステージに使用 (3)2時間程度連続使用ができる充電型COB LEDライトを光源として使用 (4)スマホやタブレット端末で拡大撮影できるスタンドを備えている (5)屋外へ持ち出しも可能 (6)回転ステージだけ生物顕微鏡にセットでき、汎用性が高い（図８）
４ 簡易偏光装置を使用したアンケート結果
この装置を授業に取り入れたら地学に興味を持つきっかけになると思うか。という質問に対し、約８１％の生徒から肯定的な回答を得た（図９）。装置を使用した効果や感想として、「調節が簡単で、使いやすい。顕微鏡のように目が疲れたり、マスクで曇ったりせず見やすい。スマホの写真が綺麗に撮れて良い。小さくて手軽、持ち運べて、安価な点もいい。岩石の組織がよく見えた。グループ学習に最適だと思う。」などといったプラスの意見が多くあげられた。
５ 考察及び今後の展望
目的①②が達成され、装置を使った教育効果もあると判断できた。今後、アンケート結果をもとに、装置の改善に努めたい。また、高校だけでなく、中学の理科第2分野地学領域での活用も見込まれるため、広く装置を普及させたい。
参考文献
・渡辺専一1972 生物顕微鏡を偏光顕微鏡として利用するための装置とその光源装置の製作 第4回東レ理科教育賞
・宇留野勝敏・福岡孝1982 自然をしらべる地学シリーズ３, 東海大出版社，50-53
・鬼木哲人2016 岩石薄片作成を取り入れた火成岩の学習 教育実践研究，no.26,91-96
・Ian Walker.(2005).A Simple Rotating Stage Attachment for the Zeiss Axiostar and other biological microscopes.microscopy-UK 2005年 5月号
・Microbehunter Microscopy(2020).Making a rotating microscope stage for polarization microscopy
・下野洋1977 簡易偏光拡大器の製作とその利用 第9回東レ理科教育賞
・三輪伸央2000 生徒が作れる簡易偏光顕微鏡の利用 第32回東レ理科教育賞
・鹿江宏明2000 簡易型偏光装置の製作とその教材化 第32回東レ理科教育賞
・佐脇貴幸2020 偏光観察台での薄片観察 GSJ地質ニュース VOL.9NO.9 255-262