11:00 〜 11:15
[PCG20-07] 次世代小天体サンプルリターンミッション:彗星における地震学
キーワード:惑星科学、彗星、地震学
彗星は太陽系形成時記憶を保持した天体であり、その理解は惑星形成や太陽系の進化を理解する上で重要な鍵となる。彗星の理解を深め、より太陽系の起源と進化を理解するために現在次世代サンプルリターンミッションとして彗星からのサンプルリターンが検討されている。ミッションは複数のその場観測も予定しており、特にその場観測による彗星の内部構造探査が検討されている。本研究では特に地震観測による内部構造探査の可能性について議論する。彗星のような微小重力天体における地震観測では地震計と地面のカップリングが重要となる。微小重力下では地震動で地震計が浮いてしまうリスクがあるためその点を考慮する必要がある。本研究ではまず地震計がカップリングを失う条件を検討し、浮かない場合、浮いてしまう場合の双方について実現可能な地震観測について検討した。地震計が浮かない場合に可能な手法として表面波解析を用いた浅部構造の探査と散乱波を用いた不均質構造の探査について紹介する。表面波の観測では彗星表面の層構造の違いがどのように地震波形の違いとして観測され、彗星の表面状態についてどのような示唆が得られるかを議論する。散乱波の解析としては内部の不均質構造の空間スケールの違いに地震波形への影響を評価し、彗星内部の不均質について制約を与える手法についての検討結果を報告する。一方、地震計が浮いてしまう場合についてはまず地震計が再び彗星表面に落下する時間を計算した上で、落下後に観測を実施することで内部構造探査が可能かを検討した。ここでは主に長周期の自由振動を観測することを目標とし、異なる内部構造を落下後の観測から見分けることが可能かどうかを議論する。最後に、これらの検討結果をもとに可能な観測システムと観測シナリオについて現在検討した内容を紹介する。