日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-CG 宇宙惑星科学複合領域・一般

[P-CG20] 宇宙・惑星探査の将来計画および関連する機器開発の展望

2024年5月27日(月) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:桑原 正輝(立教大学)、横田 勝一郎(大阪大学・理学研究科)、坂谷 尚哉(JAXA 宇宙科学研究所)、三谷 烈史(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)

17:15 〜 18:45

[PCG20-P12] Geant4を用いた高エネルギー陽子線ビーム実験(HIMAC、J-PARC)の再現と次期気象衛星搭載陽子線計測装置(RMS-p)の開発

*Park Inchun1大辻 賢一1滑川 拓1坂口 歌織1三谷 烈史2、北村 尚4、明午 伸一郎3、山口 雄司3 (1.国立研究開発法人 情報通信研究機構、2.宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所、3.国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター、4.量子科学技術研究開発機構 放射線医学研究所 )

キーワード:宇宙天気、高エネルギー陽子線検出器、Geant4

2029年に打ち上げられる予定の日本の次期気象衛星ひまわり10号は静止軌道からの高エネルギー粒子情報を利用して宇宙天気を予測するミッションが与えられている。 このミッションを果たすために現在NICTで開発されているのが「Radiation Monitors for Space weather(RMS)」である。 RMSセンサーのうち、陽子の観測を担うRMS-pは、観測されたエネルギーに応じて2つのデバイス(RMS-p-lo、RMS-p-hi)で構成されている。 RMS-p-lo (10MeV~500MeV) は 8 つのシリコン半導体検出器を使用し、そしてRMS-p-hi (100MeV~1GeV) はシリコン半導体検出器とチェレンコフ光検出器を使用して陽子のエネルギーを測定する。
今回の発表ではこれら2つの陽子センサーの性能を二つの異なる加速器施設を用いたビーム実験に関する報告する。 量子科学技術研究所 (QST) にある HIMAC 施設では160MeV 陽子線エネルギー ビームに対し、アクリル減速材を用いてエネルギーを調整しながらRMS-p-lo がテストされた。 原子力科学研究所の中に位置するJ-PARCでは、Al(p, xp) 反応からの 400MeV ~ 3GeV の範囲の準単色エネルギービームを使用して RMS-p-hi が評価された。センサーを正確に評価するには、各加速器から出てくる陽子線のエネルギーをシミュレーションで検証する必要がある。このために、我々はビームの照射環境を具体的にGeant4モデルとして作成、検討した。 RMS-p-lo の多層検出器構造は、特定の陽子エネルギーに対して各層ことにエネルギーデポジット特性を持っており、これをそれぞれ比べることでHIMAC ビームのエネルギーを逆算できる。 また、J-PARC での実験では、シミュレーションや他のシンチレーション検出器の結果を解析することで、準弾性散乱に対応する陽子エネルギーを特定することができた。 上記シミュレーションで得られたビームエネルギースペクトルとRMS-pで得られたデータを比較し、ビームエネルギーを評価するとともに、センサーに要求される性能の評価を行った。