17:15 〜 18:45
[PEM12-P15] GPS及びイオノゾンデ観測に基づく中規模伝搬性電離圏擾乱とスポラディックE層の結合過程の統計解析

キーワード:TEC、MSTID、イオノゾンデ、スポラディックE層、太陽活動度、パーキンス不安定
今までの研究でE領域とF領域は電気力学的な力で結合していることが示唆されてきた。本研究では、スポラディックE層(Es層)とF領域の中規模伝搬性電離圏擾乱(MSTID)の結合及び結合の太陽活動度依存性及び緯度依存性を調べるため、1997年から2022年までの5月から8月における、日本の4地点(稚内、国分寺、山川、沖縄)のイオノゾンデのデータと、全地球測位システム(GPS)から得られた全電子数(TEC)データを解析した。
GPS受信機の電波の遅延量から算出したTECデータから一時間の移動平均を差し引くことにより、MSTIDによるTEC変動成分を取り出した。電離圏の高度を300kmと仮定し、衛星-受信機間のパスが電離圏を通る位置をTEC変動の位置とし、緯度経度0.15°x015°のグリッドで、TEC変動の水平二次元データを得た。そのデータを用い、δIを緯度経度4.05°×4.05°の範囲及び1時間でのTEC変動の標準偏差、Iを同じ範囲及び時間の平均のTECとし、(δI/I) ×100%で定義されるMSTIDを各イオノゾンデの位置で求めた。
MSTID活動度が高くなる地方時19時から02時におけるMSTID活動度、イオノゾンデで得られたEs層のパラメータ(foEs, Δfo-b(≡foEs-fbEs))の平均値を求めた(foEs:Es層の臨界周波数、fbEs:Es層のブランケット周波数)。Δfo-bはEs層の電子密度の不均一性を示していると考えられる。5月から8月までのMSTID活動度と2つのEs層のパラメータの日変化の相互相関係数を算出した。MSTID活動度とfoEs(Δfo-b)の相互相関係数は、沖縄を除く3地点で正の値を示し(0.2-0.8)た。この結果は、MSTIDの日々変化において、Es層との結合が重要な役割をはたしていることを示唆している。さらに、緯度変化に注目すると、MSTID活動度とfoEs(Δfo-b)の相互相関係数は、稚内、国分寺、山川、沖縄の順に高い値を示した。この緯度変化の原因を調べるため、Es層及びF領域の電子密度の緯度による違いを調べた。、foEs(Δfo-b)は観測地点による違いが見られなかったが、foF2は稚内、国分寺、山川、沖縄の順に低い値を示した。この結果より、高緯度ほどF領域の電子密度が減少するが、Es層の電子密度には顕著な緯度変化はないため、高緯度ほどEs層内で生成される電場の影響が大きいと考えられる。このため、Es層・F領域間結合の日々変動において、Es層の寄与が高緯度ほど大きくなることにより、MSTIDとfoEs及びΔfo-bの日々変動の相関が高緯度ほど大きくなると考えられる。
各年のMSTID活動度とfoEs(Δfo-b)の相互相関係数をF10.7と比較した。MSTID活動度とfoEs(Δfo-b)の相互相関係数は、稚内、国分寺において太陽活動と正の相関があった。パーキンス不安定の成長率は、プラズマ密度で重みづけをし、磁力線方向の積分したイオン中性衝突周波数と反比例する。高太陽活動下では中性大気の密度が大きくなるため、衝突周波数も大きくなり、パーキンス不安定の成長率は小さくなる。したがって、高太陽活動期ではMSTIDの成長にEs層不安定による電場生成の寄与の影響が大きいと考えられる。MSTID活動度とfoEs(Δfo-b)の相互相関係数の太陽活動度依存性は、高緯度ほど顕著にみられた。
上記では、夜間平均したMSTID活動度とfoEs(Δfo-b)の相互相関を調べたが、1時間ごとに各年における5月から8月のMSTID活動度とfoEs(Δfo-b)の相互相関を調べた。その結果、MSTIDが出現する時間帯(19-02 LT)全てにおいて、MSTID活動度とfoEs(Δfo-b)の相関が0.4以上と、大きくなることがわかった。これは、夜間MSTIDの出現中は常にMSTIDとEs層が結合していることを示唆している。
GPS受信機の電波の遅延量から算出したTECデータから一時間の移動平均を差し引くことにより、MSTIDによるTEC変動成分を取り出した。電離圏の高度を300kmと仮定し、衛星-受信機間のパスが電離圏を通る位置をTEC変動の位置とし、緯度経度0.15°x015°のグリッドで、TEC変動の水平二次元データを得た。そのデータを用い、δIを緯度経度4.05°×4.05°の範囲及び1時間でのTEC変動の標準偏差、Iを同じ範囲及び時間の平均のTECとし、(δI/I) ×100%で定義されるMSTIDを各イオノゾンデの位置で求めた。
MSTID活動度が高くなる地方時19時から02時におけるMSTID活動度、イオノゾンデで得られたEs層のパラメータ(foEs, Δfo-b(≡foEs-fbEs))の平均値を求めた(foEs:Es層の臨界周波数、fbEs:Es層のブランケット周波数)。Δfo-bはEs層の電子密度の不均一性を示していると考えられる。5月から8月までのMSTID活動度と2つのEs層のパラメータの日変化の相互相関係数を算出した。MSTID活動度とfoEs(Δfo-b)の相互相関係数は、沖縄を除く3地点で正の値を示し(0.2-0.8)た。この結果は、MSTIDの日々変化において、Es層との結合が重要な役割をはたしていることを示唆している。さらに、緯度変化に注目すると、MSTID活動度とfoEs(Δfo-b)の相互相関係数は、稚内、国分寺、山川、沖縄の順に高い値を示した。この緯度変化の原因を調べるため、Es層及びF領域の電子密度の緯度による違いを調べた。、foEs(Δfo-b)は観測地点による違いが見られなかったが、foF2は稚内、国分寺、山川、沖縄の順に低い値を示した。この結果より、高緯度ほどF領域の電子密度が減少するが、Es層の電子密度には顕著な緯度変化はないため、高緯度ほどEs層内で生成される電場の影響が大きいと考えられる。このため、Es層・F領域間結合の日々変動において、Es層の寄与が高緯度ほど大きくなることにより、MSTIDとfoEs及びΔfo-bの日々変動の相関が高緯度ほど大きくなると考えられる。
各年のMSTID活動度とfoEs(Δfo-b)の相互相関係数をF10.7と比較した。MSTID活動度とfoEs(Δfo-b)の相互相関係数は、稚内、国分寺において太陽活動と正の相関があった。パーキンス不安定の成長率は、プラズマ密度で重みづけをし、磁力線方向の積分したイオン中性衝突周波数と反比例する。高太陽活動下では中性大気の密度が大きくなるため、衝突周波数も大きくなり、パーキンス不安定の成長率は小さくなる。したがって、高太陽活動期ではMSTIDの成長にEs層不安定による電場生成の寄与の影響が大きいと考えられる。MSTID活動度とfoEs(Δfo-b)の相互相関係数の太陽活動度依存性は、高緯度ほど顕著にみられた。
上記では、夜間平均したMSTID活動度とfoEs(Δfo-b)の相互相関を調べたが、1時間ごとに各年における5月から8月のMSTID活動度とfoEs(Δfo-b)の相互相関を調べた。その結果、MSTIDが出現する時間帯(19-02 LT)全てにおいて、MSTID活動度とfoEs(Δfo-b)の相関が0.4以上と、大きくなることがわかった。これは、夜間MSTIDの出現中は常にMSTIDとEs層が結合していることを示唆している。