17:15 〜 18:45
[PEM12-P27] 正常波と異常波の電離圏伝搬中におけるHF 帯電波伝搬経路・減衰計算

キーワード:HF帯電波、正常波、異常波、レイトレーシング法
電波が電離圏中を伝搬する際、電離圏の屈折率は時々刻々と変化する電子密度分布により決まるため、電波の伝搬経路も時刻によって異なる。また、電離圏中を伝搬する電波は粒子同士の衝突により減衰が生じる。これは、電波の電場によってプラズマ中の電子が動き、この電子が電離圏中の中性粒子やイオンに衝突することによって生じる。本研究では地磁気を考慮したHF帯電波の伝搬経路と減衰の計算を行った。
電波の伝搬経路の計算にはレイトレーシング法を使用した。地磁気の影響を考慮すると、電離圏中の電波は2つのモード(正常波・異常波、以下それぞれ、O-mode・X-mode)で伝搬する。本研究では、両方のモードの伝搬経路の計算を行った。電波の伝搬経路の計算の検証には、情報通信研究機構によるイオノゾンデにより取得されたデータを使用した。O-modeとX-modeの差はサイクロトロン周波数の1/2であるが、計算にて算出した差は0.7 MHz程度であった。実際にイオノゾンデにより取得された値でも同程度の値であることから、O-mode・X-modeの差については正しく導出できていると考えられる。また、臨界周波数の年変化についても導出を行い、イオノゾンデにより取得された値と比較したところ、いずれも春秋に高く、夏冬に低いという同じ傾向が得られた。ただし、計算により導出された臨界周波数のほうが高くなる傾向がある。屈折率を求める際には、IRIモデル、MSISモデルを用いて、プラズマ密度、中性粒子密度を導出しており、違いの原因がこれらのモデルによるものか、その他の原因によるのか明らかにする必要がある。
本研究では電離圏中を伝搬する電波の減衰についても計算を行った。この減衰の主な要因は粒子同士の衝突であり、伝搬経路長に沿って吸収係数κを積分することによって計算できる。HFドップラー観測との比較を想定し、送信点を調布、受信点を菅平として送受信点間での電波伝搬の際に生じる減衰の計算を行った。その結果、春秋の昼に減衰が大きく、その減衰量は約30 dBという結果を得た。
以上より、地磁気を考慮した伝搬経路の計算を行い、イオノゾンデから得られる臨界周波数と計算した臨界周波数を比較したところ変化傾向が一致した。また、電離圏での減衰の日時変化を算出し、春の昼が電離圏での減衰量が大きくなるというシミュレーション結果を得た。
発表では、各伝搬モードの伝搬特性を詳細に調べることと電離圏での減衰量から受信強度を算出し、実際に観測された電波の受信強度との比較を行い、その結果について紹介する。
電波の伝搬経路の計算にはレイトレーシング法を使用した。地磁気の影響を考慮すると、電離圏中の電波は2つのモード(正常波・異常波、以下それぞれ、O-mode・X-mode)で伝搬する。本研究では、両方のモードの伝搬経路の計算を行った。電波の伝搬経路の計算の検証には、情報通信研究機構によるイオノゾンデにより取得されたデータを使用した。O-modeとX-modeの差はサイクロトロン周波数の1/2であるが、計算にて算出した差は0.7 MHz程度であった。実際にイオノゾンデにより取得された値でも同程度の値であることから、O-mode・X-modeの差については正しく導出できていると考えられる。また、臨界周波数の年変化についても導出を行い、イオノゾンデにより取得された値と比較したところ、いずれも春秋に高く、夏冬に低いという同じ傾向が得られた。ただし、計算により導出された臨界周波数のほうが高くなる傾向がある。屈折率を求める際には、IRIモデル、MSISモデルを用いて、プラズマ密度、中性粒子密度を導出しており、違いの原因がこれらのモデルによるものか、その他の原因によるのか明らかにする必要がある。
本研究では電離圏中を伝搬する電波の減衰についても計算を行った。この減衰の主な要因は粒子同士の衝突であり、伝搬経路長に沿って吸収係数κを積分することによって計算できる。HFドップラー観測との比較を想定し、送信点を調布、受信点を菅平として送受信点間での電波伝搬の際に生じる減衰の計算を行った。その結果、春秋の昼に減衰が大きく、その減衰量は約30 dBという結果を得た。
以上より、地磁気を考慮した伝搬経路の計算を行い、イオノゾンデから得られる臨界周波数と計算した臨界周波数を比較したところ変化傾向が一致した。また、電離圏での減衰の日時変化を算出し、春の昼が電離圏での減衰量が大きくなるというシミュレーション結果を得た。
発表では、各伝搬モードの伝搬特性を詳細に調べることと電離圏での減衰量から受信強度を算出し、実際に観測された電波の受信強度との比較を行い、その結果について紹介する。