日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM12] Coupling Processes in the Atmosphere-Ionosphere System

2024年5月30日(木) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:細川 敬祐(電気通信大学大学院情報理工学研究科)、Liu Huixin(九州大学理学研究院地球惑星科学専攻 九州大学宙空環境研究センター)、大塚 雄一(名古屋大学宇宙地球環境研究所)、Chang Loren(Institute of Space Science, National Central University)

17:15 〜 18:45

[PEM12-P32] Sq-EEJ電流系の3次元構造の解明: GAIAの電気力学モデルを用いた分極効果の寄与の調査

*伊集院 拓也1吉川 顕正2三好 勉信2 (1.九州大学大学院理学府地球惑星科学専攻、2.九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)

キーワード:電離圏シミュレーション、ポテンシャルソルバー、大気圏-電離圏結合、Sq-EEJ電流系

地磁気静穏時にはSq-EEJ電流系が観測されることは広く知られている。しかし、その渦電流のうちどの部分がペダーセン電流やホール電流の担う部分であるか、またなぜそのような渦構造が発現するのかは未だ謎となっている。
 今までにこのなぞに挑んだ研究が数例ある(多くの説明ではホール伝導度の存在が含まれていないこと[e. g., Ryu et al, 2022]に注意されたい)。Fukushima [1968; 1979]では、分極に注目し電流系を2つに分離した。しかしその理論では電流の連続性や電離圏内のFACが考慮されていなかった。また、Takeda [1991]では、ホール伝導度が存在する場合と存在しない場合で数値計算を行なった。Sq電流の発現にはカウリング効果が重要であると示したが、理論の構築にまでは至らなかった。
 しかし、現在は静電過程での分極効果による電流系発現の理論がYoshikawa et al [2013]によって構築されており、3次元空間におけるSq-EEJ電流系の発現要因について理論的予想がなされている状況である[Yoshikawa et al, AGU fall meeting 2012]。そこで、本研究では数値理論モデルを用いて予想の是非を確認する。
 計算のモデルにはGAIA (Ground-to-topside model of Atmosphere and Ionosphere for Aeronomy) [Jin et al, 2011]を用いた。地球固有磁場はtilted dipoleに近似し、中性大気の風は正午の赤道から発散する分布に簡略化した。計算の結果、Sq-EEJ電流系はダイナモ電場の収束・発散と朝夕のホール伝導度勾配の分極効果の寄与が大きいことが分かった。また、効果としては大きくはないが、ホール伝導度の南北勾配によってSqの渦電流がわずかに正午からずれる可能性がある。加えて、子午面上に電流ループが存在することを確認した。これは過去に予想されていた構造である[Fukushima, 1968; Yoshikawa, AGU fall meeting 2012]。そして、Sq電流系の渦は水平面上に存在するのではなく、上下しながら渦巻いているとわかった。