13:45 〜 14:00
[PEM13-10] 内部磁気圏における温かいO+プラズマ: 磁力線に沿って動く低エネルギーO+イオン(FALEO)の行く末
磁気圏において、背景プラズマのイオン組成は、太陽風-磁気圏結合、磁力線繋ぎ変え、ケルビン-ヘルムホルツ不安定性、電磁イオンサイクロトロン波動、電磁流体波動など、その場で生じる様々な電磁気的現象の性質を大きく変化させるため、非常に重要なパラメターである。特にO+イオンはH+に比べて16倍の質量を持ち、背景プラズマの質量密度に大きな影響を与えるため、その低エネルギーフラックスがいつ、どこで、どのように変化するかを調べる必要がある。近年の研究によれば、真夜中から朝側・午前側にかけて、L>6の磁気圏には、Warm plasma cloakと呼ばれる比較的低エネルギー(10–400 eV)のイオンが存在している[Chappell et al., 2008; Lee and Angelopoulos, 2014]。また、朝側から午前側のL=3–5あたりには、Oxygen torusと呼ばれる、さらに低エネルギー(<50 eV)で主にO+からなるプラズマが局在化していることも分かってきた[Nosé et al., 2018, 2020]。ただ、こうした研究は、L>6の外部磁気圏での観測や、イベント解析に基づくものであるため、Warm plasma cloakおよびOxygen torusの内部磁気圏での統計的な調査が望まれる。
そこで、この研究では、2017年4月から2022年3月の5年間にわたって蓄積されたあらせ衛星のデータを用いて、低エネルギーO+イオンが卓越するプラズマが内部磁気圏のどこで観測されやすいかを調査した。あらせ衛星搭載のLEP-iが観測した50–300 eVのH+とO+全方向イオンフラックス(J)に注目し、J(O+)がJ(H+)の5倍以上となっている時をWarm O+プラズマと呼ぶことにした。Warm O+プラズマは、(1) 22–07 MLTでよく現れ、観測頻度のピークは真夜中過ぎにある、(2) 真夜中から午前、正午、夕方へ行くにつれて、観測頻度が下がっていく、(3) L=2.5–3.5でよく現れる、(4) 磁気赤道から離れて緯度が高くなるほどよく現れる、(5) 真夜中から午前に行くにつれて、現れるL値は大きくなっていく、ことが明らかになった。また、Dst指数に対する依存については、擾乱時(Dst=−10~−50 nT)のほうが、静穏時(Dst≧−10 nT)より観測頻度が高くなり、空間分布は、より磁気圏内部(小さいL値)および午前~正午に広がっていることも分かった。こうしたWarm O+プラズマの統計観測結果は、サブストーム時に電離圏から内部磁気圏へ流出し、磁力線に沿って動く低エネルギーO+イオン(Field-aligned low-energy O+ ion, FALEO)の時間発展から予想される結果とよく一致しており、Warm O+プラズマのプラズマ供給源がFALEOであることを示唆している。
そこで、この研究では、2017年4月から2022年3月の5年間にわたって蓄積されたあらせ衛星のデータを用いて、低エネルギーO+イオンが卓越するプラズマが内部磁気圏のどこで観測されやすいかを調査した。あらせ衛星搭載のLEP-iが観測した50–300 eVのH+とO+全方向イオンフラックス(J)に注目し、J(O+)がJ(H+)の5倍以上となっている時をWarm O+プラズマと呼ぶことにした。Warm O+プラズマは、(1) 22–07 MLTでよく現れ、観測頻度のピークは真夜中過ぎにある、(2) 真夜中から午前、正午、夕方へ行くにつれて、観測頻度が下がっていく、(3) L=2.5–3.5でよく現れる、(4) 磁気赤道から離れて緯度が高くなるほどよく現れる、(5) 真夜中から午前に行くにつれて、現れるL値は大きくなっていく、ことが明らかになった。また、Dst指数に対する依存については、擾乱時(Dst=−10~−50 nT)のほうが、静穏時(Dst≧−10 nT)より観測頻度が高くなり、空間分布は、より磁気圏内部(小さいL値)および午前~正午に広がっていることも分かった。こうしたWarm O+プラズマの統計観測結果は、サブストーム時に電離圏から内部磁気圏へ流出し、磁力線に沿って動く低エネルギーO+イオン(Field-aligned low-energy O+ ion, FALEO)の時間発展から予想される結果とよく一致しており、Warm O+プラズマのプラズマ供給源がFALEOであることを示唆している。
