日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM14] Frontiers in solar physics

2024年5月30日(木) 10:45 〜 12:15 201B (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:鳥海 森(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所)、今田 晋亮(東京大学理学系研究科地球惑星科学専攻)、Sterling Alphonse(NASA/MSFC)、渡邉 恭子(防衛大学校)、座長:Sterling Alphonse(NASA/MSFC)、今田 晋亮(東京大学理学系研究科地球惑星科学専攻)


11:45 〜 12:00

[PEM14-08] 突発的な加熱による太陽プロミネンスの形成メカニズム

*吉久 健朗1横山 央明1金子 岳史2 (1.京都大学、2.新潟大学)

キーワード:太陽:フィラメント、プロミネンス、太陽コロナ

太陽プロミネンスやコロナレインなど、コロナにおける比較的低温高密なプラズマは長年観測されている。これらの形成メカニズムを説明するために様々なモデルが提唱されてきた。その一つとして挙げられる彩層蒸発-凝縮モデルでは、コロナループ足元に集中した準定常的な加熱が彩層上部を温めて、それによる上昇流がコロナにプラズマを供給して、暴走的な冷却によって凝縮が生じることを想定している。このモデルを用いた数値計算では、数時間に及ぶコロナプラズマの冷却過程が再現されている。しかし、このモデルにおいて加熱分布は鍵であるにも関わらず、想定されている準定常的な足元局所加熱が活動領域を除いた領域においてもみられるかは、観測的にも理論的にも明らかではないという問題点がある。また近年の観測では、突発的な加熱から数十分後に凝縮が生じるような現象が報告されているが、既存のモデルでは説明できない。これらを踏まえて本研究では、突発的な加熱現象に伴う彩層蒸発-凝縮によるプロミネンス形成についての数値計算を用いた調査を行う。計算設定としては、窪みを持ったループに沿った輻射冷却、熱伝導、重力、現象論的な加熱を含む1.5次元(空間1次元、速度場、磁場3成分)磁気流体シミュレーションを考える。足元に加えた速度場により注入されたエネルギーが衝撃波とAlfv\'{e}n波の乱流カスケードによって散逸する(背景加熱)ことで、ループがコロナ温度にまで温められて、そこへ局所加熱を加えることで凝縮現象を再現する。また、局所加熱を変えるパラメータサーベイを行うことで、凝縮の生じるメカニズムを調べる。結果として、定常的な加熱を加えた場合より約$10^{3}$倍大きな加熱率の突発的な局所加熱を与えることによって凝縮が生じた。十分大きな加熱によって彩層プラズマがコロナに供給された結果、温度が低下して、冷却の時間スケールに対して熱伝導の時間スケールが長くなることが本質的に重要であることがわかった。ループの長さ$L$とフィールド長$\lambda_{F}$を用いてこれを表すと、$\lambda_{F}