日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS07] 惑星科学

2024年5月31日(金) 13:45 〜 15:00 102 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:荒川 創太(海洋研究開発機構)、田畑 陽久(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、冨永 遼佑(東京工業大学 理学院地球惑星科学系)、座長:芝池 諭人(大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 国立天文台)、冨永 遼佑(理化学研究所 開拓研究本部 坂井星・惑星形成研究室)、荒川 創太(海洋研究開発機構)、田畑 陽久(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)

13:45 〜 14:00

[PPS07-11] 近傍超新星から原始太陽円盤への26Al注入条件

*澤田 涼1瀧 哲朗1黒川 宏之1 (1.東京大学)

キーワード:太陽系形成、原始惑星系円盤、超新星爆発

隕石学より、初期太陽系には短寿命放射性核種26Al(半減期t1/2=0.7Myr)が存在していたとされ、その崩壊エネルギーは、惑星形成の熱進化に重要な役割を果たすと考えられている。太陽系における26Alの起源については、多くの仮説が提唱されてきた:その一つが、原始太陽系円盤がすでに形成されていたタイミングで、(1pc未満の)近傍超新星から円盤に直接放射性物質が注入された説(円盤注入シナリオ)である。このような26Al注入仮説は、これまで限定的な円盤構造・超新星距離でのみ検証されてきた。本研究では、円盤構造、超新星の元素合成、超新星のダスト質量分率ηdなどについて現代的な観測情報から得られた幅広い条件の下でこの問題を再検討すた。結果として、超新星の26Al放出量は2.1×10−3M(ηd/0.2)−1が必要であるとわかった。さらに、上記の条件を満たしたとしても、超新星流によって円盤温度が変化し、太陽系の記録と一致しない可能性があることがわかった。この結果は、円盤注入シナリオに強い制約を与える。初期太陽系の26Alは、他の方法で合成/注入された可能性が高いことを示唆している。

Ref.) Sawada et al. 2024 in press. https://arxiv.org/abs/2312.01948