日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS07] 惑星科学

2024年5月31日(金) 13:45 〜 15:00 102 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:荒川 創太(海洋研究開発機構)、田畑 陽久(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、冨永 遼佑(東京工業大学 理学院地球惑星科学系)、座長:芝池 諭人(大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 国立天文台)、冨永 遼佑(理化学研究所 開拓研究本部 坂井星・惑星形成研究室)、荒川 創太(海洋研究開発機構)、田畑 陽久(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)

14:45 〜 15:00

[PPS07-15] 周惑星円盤からのダスト連続波放射による形成中の惑星PDS70b及びcの特性の制約

*芝池 諭人1、モルダシニ クリストフ2 (1.大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 国立天文台、2.ベルン大学)

キーワード:形成中の惑星、周惑星円盤、ダスト連続波放射、ガス集積、ダスト進化、原始惑星系円盤

ガス惑星の形成についての理論的研究は数多く存在するが、観測によるサポートはまだ少ない。若いTタウリ型星PDS70は、前遷移円盤内で一つの大きなギャップを共有する二つのガス集積中の惑星を持ち、この系は観測的制約が得られる貴重な系である。最近、Atacama Large Millimeter/submillimeter Array (ALMA)のバンド7において、PDS70cからのダスト連続波波長が検出された。これは、惑星のガス集積の副産物である惑星周囲の小さなガス(及びダスト)円盤、周惑星円盤の証拠であると考えられている。惑星の特性についての制約を得るため、我々はダスト進化モデルを周惑星円盤に適用し、検出されたダスト放射を再現した。そして、ダスト放射の強度と、惑星の重要な三つの特性である、惑星質量、ガス集積率、及びそれらの積(MMdotと呼ばれる)との間に、正の相関を発見した。さらに、この相関により、PDS70cのMMdotが0.4 MJ2/yrより大きく、それに対応して惑星質量とガス集積率がそれぞれ5 MJと0.02 MJ/yrより大きいことも発見した。これは、惑星の特性について周惑星円盤からのダスト連続波放射により制約を与えた、初の事例である。我々は、PDS70bの特性についても、ダスト放射が非検出であることから、いくつかの緩い制約を得た。PDS70bとcの周惑星円盤からのダスト放射の非検出及び検出を同時に説明可能なシナリオも、提案する。