日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS07] 惑星科学

2024年5月30日(木) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:荒川 創太(海洋研究開発機構)、田畑 陽久(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、冨永 遼佑(東京工業大学 理学院地球惑星科学系)

17:15 〜 18:45

[PPS07-P01] 太陽系探査における地球外生命(微生物)検出法の系統的比較による研究

*塩谷 圭吾1山岸 明彦2小林 憲正3,4、吉村 義隆5、タスカー エリザベス1 (1.宇宙研、2.東薬大、3.横浜国大、4.東工大、5.玉川大)

キーワード:地球外生命、微生物、検出、方法、系統的比較研究

太陽系探査における地球外生命(微生物)検出法の系統的比較による研究について紹介する (Enya et al., (2023) Astrobiology, 23, 1099)。
 地球外生命を探すにあたって、太陽系の惑星を探査することは有望な方針のひとつである。惑星探査において生命検出を目指す際には、まず微生物を対象とすることには相応の合理性があると考える。 なぜなら、生物進化の方向性を考慮すると、微生物は誕生したが大型生物には進化していないとう状況は考えられるが、その逆の状況は起き難く、また微生物の方が数が多く、より様々な場所に存在し得ると考えるためである。
 我々は太陽系探査において地球外生命(微生物)を検出することを想定し、検出法の系統的な比較を行った。微生物の示す特徴として、増殖、形状・サイズ、有機物、蛋白質、アミノ酸、核酸、DNA、ATP、異化に注目した。そしてそれらの検出法を列挙し、プロセス、必要な有人操作、感度、サンプルボリューム、装置質量等を調べた。更に、擬陽性・偽陰性の有り様、地球生命に対する検出法としての汎用性、生死の判別性、注目した特徴の死後の長期保存性などについても比較し、結果をマスターテーブルにまとめた。
 議論では、あらゆる点で他の検出法に優越する一つの決定版的検出法は無いこと、それゆえ複数の手法の組み合わせが重要であることを結論した。また、Earth life (地球生命) と extraterrestrial life (地球外生命) の 2 分法に代えて、 Earth life、Earth-kin life (地球生命と共通祖先を持つ生命)、Earth-independent life (地球生命と独立に発生した生命) を考えることを提唱した。 さらに検出以後の分析のフローについて検討した。他方、生命探査では「見つからなかった」という結論に終わる可能性も大いにあることから、実際の探査ミッションを実現するためには、生命が見つからなかった場合にも科学成果がえら得るようミッションを設計することが必要であると考察した。