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[PPS08-P13] RyuguサンプルおよびIvuna隕石のスピネル-ヒボナイト包有物のAl–Mg同位体組成
キーワード:CAI、Al-Mg、Ryugu、二次イオン質量分析法
C型小惑星Ryuguサンプルは,CIコンドライトと類似した物質であり,主に水質変質鉱物から構成されるが,コンドリュールや難揮発性包有物(CAI,AOA)由来の高温初生鉱物を少量含む(e.g., Ito et al., 2022; Kawasaki et al., 2022; Nakamura E. et al., 2022; Nakamura T. et al., 2023).CAIは難揮発性の鉱物から成る,太陽系最古の物質である(Connelly et al., 2012).二次イオン分析法(SIMS)により取得された鉱物アイソクロンデータから,個々のCAI初生26Al/27Al比,(26Al/27Al)0は,約3.4から5.2×10-5の間で分布することが明らかになった(e.g., MacPherson et al., 2012; Ushikubo et al., 2017; Kawasaki et al., 2020).CAI形成領域における26Alの均一分布(Larsen et al., 2011)を仮定すると,この (26Al/27Al)0の変動は,約50万年の形成年代の広がりに相当する.一方で,炭素質コンドライト隕石中には,FUN CAIなど,有意に低い (26Al/27Al)0 (< ~1 × 10–5)を示すCAIも稀に存在し(e.g., Krot, 2019),初期太陽系のCAI形成領域における26Alの不均一分布の可能性が示唆されている.また,これまでにCIコンドライト隕石であるIvunaから,メリライトに富むCAIが1つ発見され,その (26Al/27Al)0は< 1.5 × 10–5であり,つまり有意な26Alの痕跡を示さないものであった(Frank et al., 2023).本研究では,Ivuna隕石および小惑星Ryuguサンプルから新たに発見したスピネルとヒボナイトから成る難揮発性包有物のAl–Mg同位体組成を測定した.スピネルやヒボナイトは,RyuguやCIコンドライトに含まれる代表的な難揮発性鉱物であるが(Kawasaki et al., 2022; Nakamura T. et al., 2023),(26Al/27Al)0の測定は未だ行われていない.
Ivuna隕石およびRyugu C0006サンプルを樹脂包埋し研磨試料を作成した.試料から約2 µm 以上のCAI鉱物を効率よく探索するため,SEM-EDSを用いてピクセルサイズ0.48 µmのBSEマップおよびX線元素マップを取得した.その後,発見したCAI鉱物の酸素同位体およびAl–Mg同位体分析を,SIMS(Cameca ims-1280HR)を用いて行った.
スピネルとヒボナイトから成る難揮発性包有物を,RyuguサンプルおよびIvuna隕石から1つずつ発見した.それらはRyuguおよびIvuna中の,水質変成の影響が比較的小さく,かつ無水初生鉱物が多く含まれる岩相に存在し,先行研究に見られた傾向と一致した(Kawasaki et al., 2022).3酸素同位体図上において,これら2つの包有物の酸素同位体組成データは,CCAMライン(Carbonaceous Chondrites Anhydrous Minerals line:炭素質コンドライト無水鉱物線)上にプロットされ,16Oに富む組成(Δ17O ~ –24‰)を示した.これは,RyuguおよびIvuna隕石に含まれる難揮発性包有物を起源とする鉱物(Kawasaki et al., 2022)や炭素質コンドライトのCAIに含まれる鉱物の酸素同位体組成(e.g., Krot, 2019)と等しい.両包有物のヒボナイトとスピネルのAl–Mg同位体の測定に成功し,それぞれのヒボナイトは有意な26Mgの過剰を示した.これらのモデルアイソクロンを定義すると,(26Al/27Al)0は約4.4×10-5であった.この値は,他の炭素質コンドライト隕石中のCAIが示す (26Al/27Al)0の範囲内(約3.4から5.2×10-5)のものである(e.g., MacPherson et al., 2012; Ushikubo et al., 2017; Kawasaki et al., 2020).RyuguおよびIvuna隕石に含まれる難揮発性包有物は,酸素とAl–Mg同位体的にも,他の炭素質コンドライト中の難揮発性包有物と同様であることが示された.また両包有物は最初期太陽系で形成したものであることが明らかになった.
Ivuna隕石およびRyugu C0006サンプルを樹脂包埋し研磨試料を作成した.試料から約2 µm 以上のCAI鉱物を効率よく探索するため,SEM-EDSを用いてピクセルサイズ0.48 µmのBSEマップおよびX線元素マップを取得した.その後,発見したCAI鉱物の酸素同位体およびAl–Mg同位体分析を,SIMS(Cameca ims-1280HR)を用いて行った.
スピネルとヒボナイトから成る難揮発性包有物を,RyuguサンプルおよびIvuna隕石から1つずつ発見した.それらはRyuguおよびIvuna中の,水質変成の影響が比較的小さく,かつ無水初生鉱物が多く含まれる岩相に存在し,先行研究に見られた傾向と一致した(Kawasaki et al., 2022).3酸素同位体図上において,これら2つの包有物の酸素同位体組成データは,CCAMライン(Carbonaceous Chondrites Anhydrous Minerals line:炭素質コンドライト無水鉱物線)上にプロットされ,16Oに富む組成(Δ17O ~ –24‰)を示した.これは,RyuguおよびIvuna隕石に含まれる難揮発性包有物を起源とする鉱物(Kawasaki et al., 2022)や炭素質コンドライトのCAIに含まれる鉱物の酸素同位体組成(e.g., Krot, 2019)と等しい.両包有物のヒボナイトとスピネルのAl–Mg同位体の測定に成功し,それぞれのヒボナイトは有意な26Mgの過剰を示した.これらのモデルアイソクロンを定義すると,(26Al/27Al)0は約4.4×10-5であった.この値は,他の炭素質コンドライト隕石中のCAIが示す (26Al/27Al)0の範囲内(約3.4から5.2×10-5)のものである(e.g., MacPherson et al., 2012; Ushikubo et al., 2017; Kawasaki et al., 2020).RyuguおよびIvuna隕石に含まれる難揮発性包有物は,酸素とAl–Mg同位体的にも,他の炭素質コンドライト中の難揮発性包有物と同様であることが示された.また両包有物は最初期太陽系で形成したものであることが明らかになった.
