09:20 〜 09:40
[PPS09-02] 日本最初の月着陸機SLIMの着陸後のマルチバンド分光カメラ(MBC)観測
★招待講演
キーワード:月探査、月着陸、近赤外線分光、マントル
小型月着陸実証機SLIMは2023年9月7日に打ち上げられ、2024年1月20日に月に着陸した。この着陸で日本は世界で5番目の月着陸成功国となった。また、誤差100m以内のピンポイント着陸にも世界で初めて成功した。着陸地点はSLIMに搭載されたマルチバンド分光カメラの目的を達成するために適切と思われる場所として、テオフィルスクレータのリムの南西の外側にあるSHIOLIクレータの近傍(13.3⁰S, 25.2⁰E)が選ばれた。
マルチバンド分光カメラの観測目的は、マントル物質が地上に露出していると思われる場所に着陸し、現地に点在する未知の岩相を同定し、マントル起源物質であれば含まれるカンラン石のMg#(=Mg/(Mg+Fe)原子比)を導き出して地球のマントル組成と比較することである。MBC は、岩石種を同定するために高い空間解像度(10 m で 1.3 mm/ピクセル)を持ち、鉱物種を同定したり、カンラン石のMg/Fe比を推定したりするための10バンドのバンドパスフィルター(750、920、950、970、1000、1050、1100、1250、1550、1650 (nm)) を備えている。また、鏡を動かすことで視野の方位角と仰角を変更することが可能である。
着陸姿勢が想定よりも約90度傾きかつ、太陽電池パネルが西を向いて着陸後の発電ができなかったため、着陸直後にはバッテリで運用できる範囲で、ロンチロックをはずす前の単バンドテストを1枚撮像し、ロンチロックを解除し、岩石の位置を特定するための低解像度スキャン画像を333枚中257枚撮影してモザイク画像をつくることができた。その後、月の夕方に太陽電池パネルの電力が回復し、月の夜が訪れるまでに、観測波長を変えてのスキャン画像撮影2セットや、10個の岩石や遠くのレゴリスなどの10バンドデータを取得することができた。学会では着陸後の運用の詳細と観測結果について報告する。
マルチバンド分光カメラの観測目的は、マントル物質が地上に露出していると思われる場所に着陸し、現地に点在する未知の岩相を同定し、マントル起源物質であれば含まれるカンラン石のMg#(=Mg/(Mg+Fe)原子比)を導き出して地球のマントル組成と比較することである。MBC は、岩石種を同定するために高い空間解像度(10 m で 1.3 mm/ピクセル)を持ち、鉱物種を同定したり、カンラン石のMg/Fe比を推定したりするための10バンドのバンドパスフィルター(750、920、950、970、1000、1050、1100、1250、1550、1650 (nm)) を備えている。また、鏡を動かすことで視野の方位角と仰角を変更することが可能である。
着陸姿勢が想定よりも約90度傾きかつ、太陽電池パネルが西を向いて着陸後の発電ができなかったため、着陸直後にはバッテリで運用できる範囲で、ロンチロックをはずす前の単バンドテストを1枚撮像し、ロンチロックを解除し、岩石の位置を特定するための低解像度スキャン画像を333枚中257枚撮影してモザイク画像をつくることができた。その後、月の夕方に太陽電池パネルの電力が回復し、月の夜が訪れるまでに、観測波長を変えてのスキャン画像撮影2セットや、10個の岩石や遠くのレゴリスなどの10バンドデータを取得することができた。学会では着陸後の運用の詳細と観測結果について報告する。
