日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS09] 月の科学と探査

2024年5月27日(月) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:西野 真木(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)、鹿山 雅裕(東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻広域システム科学系)、仲内 悠祐(立命館大学)、小野寺 圭祐(東京大学地震研究所)


17:15 〜 18:45

[PPS09-P01] 月表層におけるイルメナイト分布解明に向けたイルメナイトの室内反射分光分析

*松岡 萌1山本 聡1 (1.国立研究開発法人産業技術総合研究所)

キーワード:月、イルメナイト、反射スペクトル

イルメナイト(FeTiO3)は月の海を構成する玄武岩中に多く含まれており、月におけるイルメナイトの分布およびその存在量を明らかにすることは月の形成進化過程やマグマオーシャンの性質の解明において重要である。イルメナイト単体の反射スペクトルは可視・近赤外域において反射率が低く、Fe2+-Ti4+電荷移動遷移による~0.335 μmおよび~0.54 μmの吸収、Ti4+-OとFe2+-Oの電荷移動遷移による~0.25 μmの吸収、Ti3+-Ti4+電荷移動遷移による~0.63 μmの吸収と、Fe2+結晶場分裂による1.3 μmと1.6 μmを中心とする吸収帯を示し、0.95 μm付近で上に凸の形状が見られる(Izawa et al. 2021, Icarus)。実際に月表層においてはかぐや/SELENE搭載のSpectral Profilerによる分光観測データから1 μm帯吸収のピーク付近にわずかな盛り上がりがみられる地点が見つかっており、Multiband Imagerでも検出されている(Yamamoto et al., 2023, 惑星科学会秋季講演会)。また地上望遠鏡観測によっても月面上のTaurus-LittrowやRima Bodeと呼ばれる領域において、1 μm帯吸収上に微弱な盛り上がりが捉えられている(Gaddis et al., 1985)。
 実際の月表層において、イルメナイトは他の鉱物との混合物として存在すると考えられる。従って、イルメナイトの月面上における分布を明らかにするためにはイルメナイトの存在量が反射スペクトルに与える影響を明らかにすることが重要である。そこで本研究では、イルメナイト粉末試料と玄武岩構成鉱物として普通輝石粉末試料を用いて両者の混合比を変えながら実験室での反射スペクトル測定を行い、イルメナイト量とスペクトル特徴量の相関を明らかにする。