17:15 〜 18:45
[PPS09-P12] アポロの微動データ解析による月面浅部構造のイメージングとモニタリング
キーワード:月、自己相関、地震波干渉法
月で水を探査することができれば、将来的な月での生活用水やロケット燃料としての利用や、さらに水の起源などの理解につながる可能性がある。月の内部探査に関する研究は、アポロ計画時に月面で記録された地震データを用いて、数多く実施されてきた。それらの研究では、月における深部地震や浅部地震、隕石衝突、ロケットの一部などの人工物の衝突による揺れ、微動を用いており、解析の手法も様々である。中でも、月面に送り込むことができる地震計や震源装置には制約があるため、限られた探査装置で実施できる解析手法の開発は重要である。そこで本研究では、1台の地震計のみで実施できる地震波干渉法に基づく微動の自己相関解析を適用することで、地下からの反射波を抽出し、月面浅部構造のイメージングとモニタリングを行った。
利用したデータは、アポロ14号サイトで計測された微動データである。1974 年2月1日から12月31日までの微動データにノイズ除去処理を含めた自己相関解析を適用し、1日ごとの自己相関記録を得た。自己相関解析の過程で、データ収録に起因する特徴的なノイズが含まれることが分かったため、そのノイズを除去する手法を検討し、適用した。その結果、2.06秒と2.74 秒付近の走時に地下からの反射波と思われる信号を検出することに成功した。これらの反射波走時の時間間隔は0.68秒であり、この2つの信号をアポロ14号サイトの地下の基盤上面から3回、4回反射したものと解釈することができる可能性がある。さらに、日ごとの計算した自己相関記録にストレッチング法を適用し、弾性波速度変化の時間変化を推定した。その結果、弾性波速度変化率に約29.6日周期の周期性がみられ、これは月面の表面温度変化の周期にほぼ一致した。また、表面温度変化と弾性波速度変化率は逆相関の関係を示した。このようなモニタリング結果は、少なくとも地震計を2台必要とする相互相関を用いた既存のモニタリング結果に整合的であるが、本研究では1台の地震計のみを用いた解析により成功した。
本研究では、微動[IT1] の自己相関解析により、アポロ14号サイトの地下構造のイメージングとモニタリングに成功した。この手法により、将来的に月面基地を建設する際に必要な表層の地盤強度推定や、水氷の分布を調べる際、水氷の存在以外の表面温度変化による速度変化を補正することに繋がり、より正確な水資源探査に貢献できる可能性がある。
利用したデータは、アポロ14号サイトで計測された微動データである。1974 年2月1日から12月31日までの微動データにノイズ除去処理を含めた自己相関解析を適用し、1日ごとの自己相関記録を得た。自己相関解析の過程で、データ収録に起因する特徴的なノイズが含まれることが分かったため、そのノイズを除去する手法を検討し、適用した。その結果、2.06秒と2.74 秒付近の走時に地下からの反射波と思われる信号を検出することに成功した。これらの反射波走時の時間間隔は0.68秒であり、この2つの信号をアポロ14号サイトの地下の基盤上面から3回、4回反射したものと解釈することができる可能性がある。さらに、日ごとの計算した自己相関記録にストレッチング法を適用し、弾性波速度変化の時間変化を推定した。その結果、弾性波速度変化率に約29.6日周期の周期性がみられ、これは月面の表面温度変化の周期にほぼ一致した。また、表面温度変化と弾性波速度変化率は逆相関の関係を示した。このようなモニタリング結果は、少なくとも地震計を2台必要とする相互相関を用いた既存のモニタリング結果に整合的であるが、本研究では1台の地震計のみを用いた解析により成功した。
本研究では、微動[IT1] の自己相関解析により、アポロ14号サイトの地下構造のイメージングとモニタリングに成功した。この手法により、将来的に月面基地を建設する際に必要な表層の地盤強度推定や、水氷の分布を調べる際、水氷の存在以外の表面温度変化による速度変化を補正することに繋がり、より正確な水資源探査に貢献できる可能性がある。
