17:15 〜 18:45
[SCG40-P38] 超低周波地震から推定した流体圧は地形と関連性がある

キーワード:流体圧、スリップテンデンシ―、沈み込みプレート境界、断層、スロー地震、超低周波地震
流体圧は断層強度を効果的に弱化させる.応力降下の小さいスロー地震は高い流体圧下で発生するとされている.過去に地質学的にも地球物理学的にも,流体圧を求める試みは行われてきたが,実際のスロー地震のデータを用いて流体圧を求めた研究は少ない.Hashimoto et al.(2022)は紀伊半島沖熊野灘における超低周波地震(VLFE)の発震機構を使用し,沈み込むプレート境界上のすべりやすさ(Ts)の分布を導出した.本研究ではHashimoto et al.(2022)を発展させ,VLFEの流体圧を導出し,流体圧とVLFEの時空間関係を検討する.さらに,その流体圧をコントロールする要素を議論する.
Cox(2010)によれば,流体圧はσ1と断層面のなす角(θr)と差応力(Δσ),および静岩圧で決定できる.Terakawa et al.(2012)の手法でΔσを求めた.静岩圧は深度から得る.また,θrはHashimoto et al.(2022)の広域応力を個々のVLFEの節面に与えることで得た.同時に各節面のTsも得ることができる.ここでTsは0.1-0.6の範囲を持ち,深度に関連しない値である.
その結果,流体圧は70-170MPaが得られた.これは流体圧比にして0.4-0.7程度に相当する.また,Tsは0.3以上が主であり、数は少ないが0.1程度のものも存在した.時系列で見ると,多くの場合,流体圧が静水圧に近い状態ですべりやすい面がすべっているが,時に高い流体圧および低いTsのものがすべっていることを示している.
Tsと流体圧の関係は負の相関をもち,Tsの低い断層は高い流体圧のために弱化することですべったと言える.Tsは深度に依存しない値なので流体圧も深度の影響は小さいと言える.VLFEのTsと流体圧の空間分布は北東南西方向に帯状に分布し,VLFEの時系列の配列や沈み込みプレート境界面のTsの分布とほぼ並行であった.これは,プレート境界の地形がVLFEをコントロールしているようにみえるのは,高い流体圧もまた地形にコントロールされているためであることを示唆する.
Cox(2010)によれば,流体圧はσ1と断層面のなす角(θr)と差応力(Δσ),および静岩圧で決定できる.Terakawa et al.(2012)の手法でΔσを求めた.静岩圧は深度から得る.また,θrはHashimoto et al.(2022)の広域応力を個々のVLFEの節面に与えることで得た.同時に各節面のTsも得ることができる.ここでTsは0.1-0.6の範囲を持ち,深度に関連しない値である.
その結果,流体圧は70-170MPaが得られた.これは流体圧比にして0.4-0.7程度に相当する.また,Tsは0.3以上が主であり、数は少ないが0.1程度のものも存在した.時系列で見ると,多くの場合,流体圧が静水圧に近い状態ですべりやすい面がすべっているが,時に高い流体圧および低いTsのものがすべっていることを示している.
Tsと流体圧の関係は負の相関をもち,Tsの低い断層は高い流体圧のために弱化することですべったと言える.Tsは深度に依存しない値なので流体圧も深度の影響は小さいと言える.VLFEのTsと流体圧の空間分布は北東南西方向に帯状に分布し,VLFEの時系列の配列や沈み込みプレート境界面のTsの分布とほぼ並行であった.これは,プレート境界の地形がVLFEをコントロールしているようにみえるのは,高い流体圧もまた地形にコントロールされているためであることを示唆する.