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[SCG40-P50] 2023年、2024年の能登半島地震前後の精密重力観測結果
キーワード:能登半島、群発地震、重力、地殻変動、流体
能登半島北部で2020年12月から活発な群発地震と対応する地殻変動が継続している。また、2023年5月、2024年1月にはM6, 7級地震が発生した。地球科学的調査は、地下に存在する豊富な流体がこれらの群発地震や地震に関わっていることを示している。例えば、GNSSで観測された地殻のtransientな隆起は、流体の貫入を示唆する開口成分の存在を要求する。流体は水の可能性が高いと考えられているが、それを支持する十分な証拠はまだ得られていない。我々は、流体の密度を拘束するため、また、流体の移動の証拠を得るため、重力観測を実施した。観測は、2022年3月、2023年3月、5月、9月、2024年1月、3月の計6回行った。絶対重力計1台を珠洲市または金沢大に設置し、その周辺の地点を相対重力計で測定した。これらのすべてのサイトで、GNSS連続観測が京大、金沢大、国土地理院によって行われている。この発表では、上記の2つの大地震前後の重力変化について主に報告する。観測された重力変化はGNSSで観測された隆起から推定される傾向と概ね一致する。しかしながら、観測された上下変位、重力変化から求めた重力勾配は、地殻の平均密度より有意に低い密度を示す。この原因を明らかにするため、地表起源ではない重力変化のノイズとして、表層付近の地下水、海岸に近い効果を検討中である。一方、GNSSデータは地震時地殻変動がせん断すべりで説明できることを示している。我々は、せん断すべりに伴う地下の密度変化を弾性くいちがい理論で計算した。しかし、上の不一致は説明できなかった。地表付近を起源とするノイズでない場合、水の関わる非弾性変形が働いている可能性がある。