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[SCG46-14] オマーンオフィオライトでのベインマッピングに基づく海洋プレートでの流体移動プロセス

キーワード:海洋地殻、浸透率、オマーンオフィオライト、ベイン特性、鉱物脈
海底下での熱水循環は海嶺付近を中心に広く起こっており、そのような流体の移動は海洋プレート内の割れ目が支配している。海洋プレート内部の流体移動を観察するために室内実験による浸透率などの測定が行われてきたが、測定スケールの違いによって実際の海洋プレート内部で流体移動を支配する比較的大きい割れ目の影響を観察することができていない。そのため、実際の海洋プレート内部の流体移動プロセスを推定するには、実験室スケールの結果だけでなく、フィールドスケールでのマクロな割れ目の観察が必要と言える。そこで本研究では、鉱物脈として保存されている、かつて水道として使用された割れ目の特性を調べることを目的とし、オマーンオフィオライトでフィールドスケールのベインマッピングを実施した。
調査は海洋プレートが陸上にのし上がった地質構造体であるオマーンオフィオライトのWadi Haymiliyahセクションで行った。このセクションでは玄武岩からハルツバージャイトが連続的に涸れ沢沿いに露頭として分布している。流体の通り道である割れ目(ベイン)マッピングでは、鉱物種、密度分布、開口幅、走向・傾斜をスキャンライン法により測定した。今回の調査では海洋プレートの上部からマントルまで、合計510本のベインをカウントした。海洋地殻中のベインは海嶺近傍で形成されるエピドートや角閃石から構成されるものと、それらより海嶺から離れた場所で形成されるプレーナイトから成るベインに分類される。マントルセクションのベインは低温の蛇紋石で形成されていた。地殻内での海嶺近傍起源の高温のベインが示すベイン密度は2.5 m-1、開口幅は3.1 mm、ベインの方向は海嶺軸に平行なものが多かった。海嶺から離れた場所で形成される低温のベインが示すベイン密度は3.6 m-1、開口幅は1.0 mmでほぼランダムな方向であった。マントルセクションの蛇紋石ベインが示すベイン密度は4.6 m-1、開口幅は7.6 mmでモホ面に平行なものが多かった。
測定したベインの密度分布と開口幅から浸透率を推定した。地殻中での海嶺近傍起源の高温のベインによる最大の浸透率は~10-9 m2であり、深度とともに低下する傾向があった。海嶺から離れた場所で形成される低温のベインによる最大の浸透率は~10-10m2であり、地殻中でランダムな値を示した。マントルセクションでの蛇紋石のベインによる最大の浸透率は~10-8 m2で地殻中のベインによる値よりも高く、流体が地殻を通してマントルまで十分に移動していることを示唆している。これらの浸透率は実験室スケールで測定される値よりも数桁高く、これは測定スケールによる割れ目の開口幅の違いに依存していると考えられ、海洋プレート内部では比較的大きいスケールの割れ目が流体の移動を支配していることを示している。
調査は海洋プレートが陸上にのし上がった地質構造体であるオマーンオフィオライトのWadi Haymiliyahセクションで行った。このセクションでは玄武岩からハルツバージャイトが連続的に涸れ沢沿いに露頭として分布している。流体の通り道である割れ目(ベイン)マッピングでは、鉱物種、密度分布、開口幅、走向・傾斜をスキャンライン法により測定した。今回の調査では海洋プレートの上部からマントルまで、合計510本のベインをカウントした。海洋地殻中のベインは海嶺近傍で形成されるエピドートや角閃石から構成されるものと、それらより海嶺から離れた場所で形成されるプレーナイトから成るベインに分類される。マントルセクションのベインは低温の蛇紋石で形成されていた。地殻内での海嶺近傍起源の高温のベインが示すベイン密度は2.5 m-1、開口幅は3.1 mm、ベインの方向は海嶺軸に平行なものが多かった。海嶺から離れた場所で形成される低温のベインが示すベイン密度は3.6 m-1、開口幅は1.0 mmでほぼランダムな方向であった。マントルセクションの蛇紋石ベインが示すベイン密度は4.6 m-1、開口幅は7.6 mmでモホ面に平行なものが多かった。
測定したベインの密度分布と開口幅から浸透率を推定した。地殻中での海嶺近傍起源の高温のベインによる最大の浸透率は~10-9 m2であり、深度とともに低下する傾向があった。海嶺から離れた場所で形成される低温のベインによる最大の浸透率は~10-10m2であり、地殻中でランダムな値を示した。マントルセクションでの蛇紋石のベインによる最大の浸透率は~10-8 m2で地殻中のベインによる値よりも高く、流体が地殻を通してマントルまで十分に移動していることを示唆している。これらの浸透率は実験室スケールで測定される値よりも数桁高く、これは測定スケールによる割れ目の開口幅の違いに依存していると考えられ、海洋プレート内部では比較的大きいスケールの割れ目が流体の移動を支配していることを示している。