11:00 〜 11:15
[SCG48-07] 地磁気異常データを用いたマリアナトラフの拡大過程

キーワード:背弧海盆、地磁気異常、マリアナトラフ
マリアナトラフは,太平洋プレートがフィリピン海プレートに沈み込むことにより形成された,現在でも活動的な背弧海盆である.マリアナトラフは地形の特徴から北部,中部,南部の3つの地域に分けることができる.これまでに3つのそれぞれの地域で地磁気異常データの解析を元に拡大開始年代や拡大速度が考察されてきたが,マリアナトラフ全体の形成史について総合的な研究はなかった.本研究ではマリアナトラフ全体の地形,地磁気異常を解釈することで,拡大開始から現在までの拡大過程を考察する.マリアナトラフは背弧海盆の中では調査が進んでいる地域であり,地磁気異常を全域で解釈することができる.そのような背弧海盆は四国海盆やラウ海盆だけと少ないため,本研究によって背弧海盆の形成過程に新たな知見を与えることが期待できる.
本研究に用いたデータは,海底地形データ,地磁気異常z成分の2種類である.海底地形データは研究調査船「よこすか」,「かいれい」,「白鳳丸」によるY96-13,YK99-11-Leg2,YK00-13,YK01-11,YK03-09,YK09-08,YK10-10,YK10-15,KR98-12,KR02-14,KR03-13,KR05-17,KR06-12,KH92-1の14航海でのマルチナロービーム測深器で測定された.これらのデータを用いて50mグリッドの地形データを作成し,データが不足している部分はKitada et al (2005) の0.1分グリッドの地形データで補完して,マリアナトラフ全体の地形データを作成した.地磁気データは,研究調査船「よこすか」,「かいれい」,「白鳳丸」による Y96-13,YK99-11-Leg2,YK01-11,YK03-09,YK08-08 Leg1,2,YK09-08,YK10-10,YK10-12,YK10-15,YK12-11,YK14-13,YK15-11,KR97-11,KR98-12,KR00-03,KR02-01,KR02-14, KR03-13,KR05-17,KR16-14,KH92-1の21航海で,船上3成分磁力計によって取得された.マリアナトラフが磁気赤道に近い場所での東西拡大であること,水平ジャイロコンパスの不調により地磁気異常水平成分の精度が悪いデータがあったことから,本研究では地磁気異常z成分を使用した.まずIsezaki(1986)の手法を用いて船体磁化の影響を補正し,Parker and Huestis (1974) のインバージョン手法を用いて,船体磁化補正した地磁気異常z成分を海底下の磁化強度に変換した.
作成した詳細地形図の解釈に基づき,拡大軸,セグメント境界,リフティングと海底拡大の境界を認定した.現在の拡大軸は計18個の2次のセグメントに分かれているが,セグメント長は拡大開始から一定ではなく,セグメントの盛衰や分離・融合があったことが明らかになった.特に中部地域では約4Maに海底地形の線構造の走向が大きく変化している.セグメントごとに拡大軸の長さ,走向,オフセットの長さをまとめた.また,海底下の磁化強度分布からは縞状異常の特徴が明らかになり,現在の拡大軸から順番に年代を割り振ることでセグメントごとの拡大過程を推定した.それぞれの地域での一番古い年代は,拡大軸の西側だけ同定することができ,中部でC3An.2n_old(約6.7Ma),北部でC2An.3n_old(約3.6Ma),南部でC2An.3n_young(約3.3Ma)であった.また,地形を考慮した二次元ブロックモデルを仮定し,地磁気異常のフォワードモデリングを行うことで,さらに詳細な拡大開始年代と拡大速度を求めた.これらの結果を基に,非対称な拡大様式についても検討した.
本研究に用いたデータは,海底地形データ,地磁気異常z成分の2種類である.海底地形データは研究調査船「よこすか」,「かいれい」,「白鳳丸」によるY96-13,YK99-11-Leg2,YK00-13,YK01-11,YK03-09,YK09-08,YK10-10,YK10-15,KR98-12,KR02-14,KR03-13,KR05-17,KR06-12,KH92-1の14航海でのマルチナロービーム測深器で測定された.これらのデータを用いて50mグリッドの地形データを作成し,データが不足している部分はKitada et al (2005) の0.1分グリッドの地形データで補完して,マリアナトラフ全体の地形データを作成した.地磁気データは,研究調査船「よこすか」,「かいれい」,「白鳳丸」による Y96-13,YK99-11-Leg2,YK01-11,YK03-09,YK08-08 Leg1,2,YK09-08,YK10-10,YK10-12,YK10-15,YK12-11,YK14-13,YK15-11,KR97-11,KR98-12,KR00-03,KR02-01,KR02-14, KR03-13,KR05-17,KR16-14,KH92-1の21航海で,船上3成分磁力計によって取得された.マリアナトラフが磁気赤道に近い場所での東西拡大であること,水平ジャイロコンパスの不調により地磁気異常水平成分の精度が悪いデータがあったことから,本研究では地磁気異常z成分を使用した.まずIsezaki(1986)の手法を用いて船体磁化の影響を補正し,Parker and Huestis (1974) のインバージョン手法を用いて,船体磁化補正した地磁気異常z成分を海底下の磁化強度に変換した.
作成した詳細地形図の解釈に基づき,拡大軸,セグメント境界,リフティングと海底拡大の境界を認定した.現在の拡大軸は計18個の2次のセグメントに分かれているが,セグメント長は拡大開始から一定ではなく,セグメントの盛衰や分離・融合があったことが明らかになった.特に中部地域では約4Maに海底地形の線構造の走向が大きく変化している.セグメントごとに拡大軸の長さ,走向,オフセットの長さをまとめた.また,海底下の磁化強度分布からは縞状異常の特徴が明らかになり,現在の拡大軸から順番に年代を割り振ることでセグメントごとの拡大過程を推定した.それぞれの地域での一番古い年代は,拡大軸の西側だけ同定することができ,中部でC3An.2n_old(約6.7Ma),北部でC2An.3n_old(約3.6Ma),南部でC2An.3n_young(約3.3Ma)であった.また,地形を考慮した二次元ブロックモデルを仮定し,地磁気異常のフォワードモデリングを行うことで,さらに詳細な拡大開始年代と拡大速度を求めた.これらの結果を基に,非対称な拡大様式についても検討した.