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[SCG48-P33] 沖縄トラフ北部陸棚斜面における自生炭酸塩岩の形成過程と広域分布
キーワード：東シナ海、沖縄トラフ、冷湧水、炭酸塩岩、反射法地震波探査
沖縄トラフはフィリピン海プレートのユーラシアプレートへの沈み込みに伴う展張及びリフティングが現在起こっている活動的な背弧海盆である。沖縄トラフにおいては冷湧水起源と考えられる自生炭酸塩岩の存在が数地点報告されているが(Oiwane et al., 2011; Sun et al., 2015)、その詳細な地理的分布や形成時期などについては殆ど明らかではない。
本研究では、沖縄トラフ北部陸棚斜面において海上保安庁海洋情報部の測量船による海底地形データやバックスキャッタデータをもとにドレッジを実施し、南北約300kmにわたる複数の地点にて自生炭酸塩岩試料が得られた。本発表ではこれらの試料を用いて、その地理的分布と形成過程についての議論を行う。
得られた試料の一部は明瞭なチムニー構造を持ち、殆どの試料で低い炭素同位体比(δ13C)を持つことから、これらの炭酸塩岩はメタン湧水に起源をもつことが示唆される。また、ICP-MSを用いた微量元素組成の分析の結果、ホルミウム(Ho)に比べてイットリウム(Y)が富む傾向にあり、これは炭酸塩岩への海水の寄与があったことを示唆する。さらに、反射顕微鏡下にて有孔虫などの微化石の存在が確認できた試料については、硫酸ナトリウム法・ナフサ法を用いて有孔虫を拾い出し、生息年代の特定できる複数種から堆積年代は前期鮮新世頃と推定された。
沖縄トラフ北部の陸棚斜面部に存在する沖男女海陵群においてはmini-GIガンを用いた反射法地震波探査により不整合面の追跡や断層分布の調査が行われた（Aoki et al., 2023）。極めて大きな変位を持つ断層が発見され、炭酸塩岩の採取された高まりの頂部では周囲と比較して古い層準が地表近傍に存在していることが明らかになり、微化石の年代と比較することで構造地質的制約や、断層や炭酸塩岩の形成のタイミングの解明が期待される。
References: [1] Oiwane et al. (2011) Marine Geology 288(1-4), 49-60. [2] Sun et al. (2015) Deep-Sea Research I 95, 37-53. [3] Aoki et al. (2023) JpGU2023
本研究では、沖縄トラフ北部陸棚斜面において海上保安庁海洋情報部の測量船による海底地形データやバックスキャッタデータをもとにドレッジを実施し、南北約300kmにわたる複数の地点にて自生炭酸塩岩試料が得られた。本発表ではこれらの試料を用いて、その地理的分布と形成過程についての議論を行う。
得られた試料の一部は明瞭なチムニー構造を持ち、殆どの試料で低い炭素同位体比(δ13C)を持つことから、これらの炭酸塩岩はメタン湧水に起源をもつことが示唆される。また、ICP-MSを用いた微量元素組成の分析の結果、ホルミウム(Ho)に比べてイットリウム(Y)が富む傾向にあり、これは炭酸塩岩への海水の寄与があったことを示唆する。さらに、反射顕微鏡下にて有孔虫などの微化石の存在が確認できた試料については、硫酸ナトリウム法・ナフサ法を用いて有孔虫を拾い出し、生息年代の特定できる複数種から堆積年代は前期鮮新世頃と推定された。
沖縄トラフ北部の陸棚斜面部に存在する沖男女海陵群においてはmini-GIガンを用いた反射法地震波探査により不整合面の追跡や断層分布の調査が行われた（Aoki et al., 2023）。極めて大きな変位を持つ断層が発見され、炭酸塩岩の採取された高まりの頂部では周囲と比較して古い層準が地表近傍に存在していることが明らかになり、微化石の年代と比較することで構造地質的制約や、断層や炭酸塩岩の形成のタイミングの解明が期待される。
References: [1] Oiwane et al. (2011) Marine Geology 288(1-4), 49-60. [2] Sun et al. (2015) Deep-Sea Research I 95, 37-53. [3] Aoki et al. (2023) JpGU2023