日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG54] 海域火山

2024年5月31日(金) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:田村 芳彦(海洋研究開発機構 海域地震火山部門)、藤田 英輔(防災科学技術研究所 火山防災研究部門)、前野 深(東京大学地震研究所)、小野 重明(国立研究開発法人海洋研究開発機構)

17:15 〜 18:45

[SCG54-P05] 南部伊豆孤リフト帯の流紋岩質火山活動の化学的特徴とマグマダイナミクス

*原口 悟1石井 輝秋2 (1.東京大学地震研究所、2.静岡大学防災防災総合センター)

キーワード:南部伊豆孤、島弧内部リフト帯、流紋岩マグマ、軽石筏、島弧横断方向の化学組成バリエーション

伊豆弧の火山フロント西側は島弧伸張方向の正断層構造が発達し、リフト帯をなしている。断層活動は大小さまざまな背弧凹地を形成するとともに、火山活動ももたらし、断層構造に関係すると考えられる直線的な配列の小海丘群が多く認められている。2024年10月上旬に同海域を震源とする群発地震、および津波が観測され、さらに10月20日に軽石の漂流が発見されたことにより、リフト帯の火山活動が改めて注目された。
同海域では1995年、ハワイ大学の研究船Moana Wave号によって青ヶ島から鳥島にかけての火山フロントから雁行海山列に至る範囲で火山岩採取調査が行われ、背弧リフト帯でも多くのドレッジを実施、火山岩が採取された。これらの火山岩は玄武岩と流紋岩が卓越する「バイモーダル」な組成分布を示す。玄武岩は島弧横断方向の化学組成変化を示し、マグマ起源物質、沈み込むスラブの寄与が考察されている(e.g. Kimura et al., 2010)。流紋岩もまた、島弧横断方向の化学組成変化を示すが、玄武岩とは異なる特徴も示し、四国海盆拡大以前の島弧活動により形成された中部地殻がリフト活動による減圧部分溶融によって流紋岩マグマが生成したと考えられた(Haraguchi et al., 2017)。今回、リフト帯に由来すると考えられる軽石の漂流が発見されたことを受けて、同海域における先行研究の化学データを用いて、改めてリフト帯のマグマ活動を考察したい。