[S-GC32] Volatiles in the Earth - from Surface to Deep Mantle

[SGC32-08] 揮発性成分を用いた韓国、済州島東部の単成火山の地球化学的研

*かん みんじぇ¹、柵山 徹也¹、清水 健二²、牛久保 孝行²、前田 治紀¹ (1.大阪公立大学 大学院 理学研究科、2.海洋研究開発機構 高知コア研究所)

キーワード：揮発性成分、メルト包有物、韓国、済州島

済州島はプレート内の火山活動地域として，約180MaからAD1,000年まで火山活動があったとされている(KIGAM＆JRI, 2020）．島の生成過程については、枯渇したマントルからの直接的な上昇によるプリュム由来(Tatsumi et al., 2005)，または玄武岩からδ¹⁸Oの分析から沈み込むスラブの影響の報告される(J. I. Kim., 2023) などの，様々な研究とモデルが提案されている．また，最近の研究では があると報告している．しかし火成活動の起源を考慮する上に重要な揮発性成分に関する研究は一度も行われていない．H₂OやCO₂などの揮発性成分はマグマ溶融に重要だとされているが，一般的な溶岩類の場合，噴出後の徐冷することによって一次的な濃度の算出に困難である．一方，スコリアは急冷過程を経るため，スコリア内の斑晶鉱物にトラップされたメルト包有物 (Melt Inclusion, MI) で，より初生的な濃度が得られる可能性が高い．
本研究では済州島北東部に位置するDarangswi単成火山(~7ka，JS06)を対象とし，メルトから最初に晶出されるかんらん石に含まれたMIを使用している．全岩組成及び母体となったかんらん石(Host Olivine)の主成分元素とMIの主要揮発性成分(H₂O, CO₂, F, S, Cl)分析を行うことで，本研究では島東部火山の初生メルト組成及び揮発性成分を探し，海洋スラブ影響を明らかにすることを目的としている．
Tatsumi et al., 2005により，済州島の起源プリュームは大きく3種類－High-Alumina Alkali (HAA), Low-Alumina Alkali (LAA), Sub-Alkali (SA)に分けられる．サンプルの全岩分析結果, 玄武岩系に属してLAAとして分類される．しかし，MI組成をTAS (SiO₂ vs Total Alkali) 図に表した際に，HAAとLAAの二つのマグマが同時に存在する．MIの主成分と揮発性成分からJS06が最低6つのマグマ原を推定することができた．
上記の結果から得られた初生MI組成を用いて海洋スラブ影響の検討を行った. 同一の手法で研究されたKuritani et al., 2021のH₂O/F比とCl/F比で比較した際に，済州島は中央海嶺(Depleted Mantle)の範囲から外れた値を示しており， 海洋スラブの影響を受けたとされる，済州と約200㎞離れた, 五島列島と近い値を示す．
本研究により，済州島形成後期火山でHAAとLAAマグマ原の同時存在が新に確認され，さらに各マグマ原ごとの初生メルト組成を主成分元素，及び揮発性成分から推定することができた．また他の地域のMIデータとの比較から，済州島後期には海洋スラブの影響があると考えられる．