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[SGD01-09] チャンドラー極運動の消失に対する大気の寄与の解析

キーワード:地球回転、極運動、チャンドラー極運動、励起関数、大気角運動量
チャンドラー極運動とは、地球の極運動のうちの1成分で、大気及び海洋、陸水の質量再配分と固体地球に対する相対角運動量(風と海流)とによって励起される地球の自由振動の一つである(Gross, 2015)。最小二乗法を用いたモデリングによって、2015年以降のチャンドラー極運動の振幅が30ミリ秒角程度と極端に減少していることが明らかになった(Yamaguchi and Furuya, 2024)。また、Zotov et al. (2022)に於いても、特異スペクトル解析によってチャンドラー極運動の振幅減少に言及している。チャンドラー極運動の有無は、その自由減衰の項の存在により極運動の予測精度を大きく左右する。しかし、なぜ、どのようにチャンドラー極運動が励起されなくなったかについては未だ明確でない。
この現象を説明する仮説は幾つか存在する。例えば、励起関数の総和が偶然打ち消しあったという可能性、或いは、個々の励起関数の強度が減少したという可能性である。Yamaguchi and Furuya (2024)では、励起関数の総和が偶然打ち消しあった可能性が低いことが示唆されているが、2015年以降のチャンドラー極運動消失の原因について明らかにし、チャンドラー極運動励起・減衰の実態について探ることが本研究の目的である。
本研究では、気象庁によって提供されているJRA-55再解析データを用いて、大気角運動量(AAM)を計算した。また、比較のために、ESMGFZが提供しているECMWFの再解析データに基づくAAM、MPIOMのデータに基づく海洋角運動量(OAM)、LSDMのデータに基づく陸水角運動量(HAM)の組み合わせ(Dobslaw et al., 2018)に加え、パリ天文台提供のNCEPデータに基づくAAMとECCOの海洋モデルに基づくOAMの組み合わせ(Gross et al., 2003)も併せて解析した。
これらの励起関数を積分することで、励起されるチャンドラー極運動を推定した。Chao (1985)では、励起関数を積分する方法についての結果を指摘しているが、積分の初期値を0とし、励起関数の年周成分を取り除くことで、欠点を回避することが可能である(Furuya et al., 1997)。積分期間は1976年~2022年4月であり、チャンドラー周期は432日、Q値は25又は50と仮定した。
JRA-55に基づいて計算したAAMを15度毎の緯度帯・経度帯毎に分割して計算した。その結果、大気圧の効果については、海洋が占める面積の大きい緯度帯・経度帯で比較的寄与が大きいことが明らかになった。また、風の効果については、大気圧の効果より寄与が大きく、中緯度で特に寄与が大きいことが分かった。また、2015年以降、推定されたチャンドラー極運動の振幅が増加・減少している幾つかの緯度帯が存在していた。また、計算されたAAMについて、1日の長さに対応するZ成分を詳しく解析し、2015年以降に何らかの変化が生じていないか調べている。
この現象を説明する仮説は幾つか存在する。例えば、励起関数の総和が偶然打ち消しあったという可能性、或いは、個々の励起関数の強度が減少したという可能性である。Yamaguchi and Furuya (2024)では、励起関数の総和が偶然打ち消しあった可能性が低いことが示唆されているが、2015年以降のチャンドラー極運動消失の原因について明らかにし、チャンドラー極運動励起・減衰の実態について探ることが本研究の目的である。
本研究では、気象庁によって提供されているJRA-55再解析データを用いて、大気角運動量(AAM)を計算した。また、比較のために、ESMGFZが提供しているECMWFの再解析データに基づくAAM、MPIOMのデータに基づく海洋角運動量(OAM)、LSDMのデータに基づく陸水角運動量(HAM)の組み合わせ(Dobslaw et al., 2018)に加え、パリ天文台提供のNCEPデータに基づくAAMとECCOの海洋モデルに基づくOAMの組み合わせ(Gross et al., 2003)も併せて解析した。
これらの励起関数を積分することで、励起されるチャンドラー極運動を推定した。Chao (1985)では、励起関数を積分する方法についての結果を指摘しているが、積分の初期値を0とし、励起関数の年周成分を取り除くことで、欠点を回避することが可能である(Furuya et al., 1997)。積分期間は1976年~2022年4月であり、チャンドラー周期は432日、Q値は25又は50と仮定した。
JRA-55に基づいて計算したAAMを15度毎の緯度帯・経度帯毎に分割して計算した。その結果、大気圧の効果については、海洋が占める面積の大きい緯度帯・経度帯で比較的寄与が大きいことが明らかになった。また、風の効果については、大気圧の効果より寄与が大きく、中緯度で特に寄与が大きいことが分かった。また、2015年以降、推定されたチャンドラー極運動の振幅が増加・減少している幾つかの緯度帯が存在していた。また、計算されたAAMについて、1日の長さに対応するZ成分を詳しく解析し、2015年以降に何らかの変化が生じていないか調べている。