[S-GD01] 測地学・GGOS

[SGD01-P12] マルチGNSS PPP解とF5解及び異なる解析方法のマルチGNSS PPP解間の整合性

*中川 弘之¹、髙松 直史¹、宮﨑 隆幸¹、村上 真亮¹ (1.国土地理院)

キーワード：精密単独測位、PPP、GNSS

GEONET定常解析のF5解とGPSとGLONASSデータによるPPP解との間には、上下方向にアンテナ・架台タイプに依存した-2cm程度（上向きを正。以下同じ）のバイアスが見られる。この原因を調査するために、2021年8月1日から31日までの1ヶ月間のGEONET全点のデータを用いて、解析手法が異なる日々のマルチGNSS PPPスタティック解について以下の4種類の比較を行った。
（１）F5解とIGS暦を使用したPPP GPS解（解析手法の違いの影響）
（２）IGS暦を使用したPPP GPS解と国土地理院で作成した後処理暦を使用したPPP GPS解（暦の違いの影響）
（３）それぞれ国土地理院で作成した後処理暦を使用したPPP GPS解とPPP GPS+GLONASS解（解析に使用する衛星系の影響）
（４）GLONASSにGPSと同じ位相特性モデルを適用したPPP GPS+GLONASS解とGLONASSの位相特性モデルを別個に推定したPPP GPS+GLONASS解（位相特性モデルの違いの影響）
初期的な結果では、
（１）解析手法の違いの影響：F5解に対してIGS暦を使用したPPP GPS解はアンテナ・架台タイプに依存した-7mm~15mm程度のバイアス
（２）暦の違いの影響：IGS暦を使用したPPP GPS解に対して国土地理院で作成した後処理暦を使用したPPP GPS解は-20mm～-15mm程度の一定のバイアス
が生じた。一方、
（３）解析に使用する衛星系の違いの影響：それぞれ国土地理院で作成した後処理暦を使用したPPP GPS解に対するPPP GPS+GLONASS解
（４）位相特性モデルの違いの影響：GLONASSにGPSと同じ位相特性モデルを適用したPPP GPS+GLONASS解に対する、GLONASSの位相特性モデルを別個に推定したPPP GPS+GLONASS解
については、いずれもバイアスは±5mm程度と比較的小さかった。この結果はF5解とPPP解の間のバイアスの大部分は解析手法の違いと暦の違いに由来することを示唆している。