日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GL 地質学

[S-GL17] 地球年代学・同位体地球科学

2024年5月30日(木) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:田上 高広(京都大学大学院理学研究科)、佐野 有司(高知大学海洋コア総合研究センター)

17:15 〜 18:45

[SGL17-P03] 深層学習マイクロマニピュレータシステムを用いたK–Ar年代測定のための鉱物ハンドピックの自動化の試み

*山﨑 誠子1宮川 歩夢1板木 拓也1 (1.国立研究開発法人産業技術総合研究所地質調査総合センター)

キーワード:K–Ar年代測定、試料前処理、深層学習、AI分類

火山岩のK–Ar年代測定において信頼性の高い年代値を得るためには,過剰40Arが含まれる可能性のある斑晶部分を取り除き,石基試料を調整することが重要である.従来から磁性分離や重液分離で取り除けなかった斑晶は最終的に顕微鏡下でハンドピックにて取り除く手順になっているが,試料によっては除去する量が多く,時間のかかる作業である.そこで本研究では,ハンドピックの自動化を目指して,すでに微化石の単一分離・集積で実績のある産総研の深層学習マイクロマニピュレータシステムを用いて,火山岩試料の鉱物分離を試みた.試料には御嶽火山の岩石を粉砕して180-250μmにふるいわけし,磁性分離および重液分離後に少量の斜長石斑晶の残った石基濃集フラクションを用いた.微化石の判別には形状の特徴を基準とするが,本試料では主に白い斜長石と黒い石基を色で区別する部分に違いがある.教師データの作成段階で,微化石用に開発されたソフトウエアでは鉱物粒子の形状を重要視した分類結果になったため,一度画像を取り出して産総研で開発した深層学習ソフトウエアにて処理を行った.得られた教師データを深層学習マイクロマニピュレータシステムに戻し,新たにテスト試料の分類を行なったところ,白黒粒子の判別結果として約95%の精度で分類することができた.1粒子の中に斑晶部分と石基部分がある場合の判定に課題が残るものの,前処理の効率化に向けた本システムの有効性が確かめられた.